退職後の住民税はいくら?納付書はいつ届く・払えないときの相談先
「退職したのに、なんで税金の請求が来るの?」届いた納付書の金額を二度見して、無収入なのにこの額を払えるのかと、封筒を机の隅に置いたままにしていませんか。
住民税は前年の収入に対する後払いです。収入が止まっていても請求は止まらず、放置すると延滞金が付き、督促状の先には差押えも待っています。
私も過去に9月末で退職し、次の会社に入るまで3ヶ月ほど無職の期間を過ごしました。この記事では、退職後の住民税の金額の目安と納付書が届く時期、払えないときの相談先を、公的な情報をもとに説明します。
読み終えるころには、自分の退職月で「いつ・いくら」来るのかが分かり、支払いの段取りを自分で決めやすくなります。
住民税そのものは、減らしにくい税金です。ただ、納期限の前に相談すれば、分割や猶予を相談できる窓口が用意されています。
- 前年の年収が300万円なら、住民税は年約12万円が目安
- 6〜12月退職なら、多くの場合、納付書は退職の翌月〜2ヶ月後に届く
- 払えないときは、納期限の前に市区町村の納税課へ電話する
退職後の住民税はどうなる?退職した月でまず自分のケースを判定

退職後の住民税の扱いは、退職した月で3パターンに分かれます。まず下の表で、自分がどのパターンに当てはまるかを確かめてください。
| 退職した月 | 残りの住民税の払い方 | 納付書 | 最初にやること |
|---|---|---|---|
| 1月1日〜4月30日 | 最後の給与や退職金からまとめて天引き(原則) | 基本は届かない | 最後の給与明細で「住民税」の控除額を確認 |
| 5月 | 5月分のみ天引きで完結 | 届かない | 給与明細の住民税欄を確認 |
| 6月〜12月 | 退職月分まで天引き。残りは納付書で自分で払う | 普通徴収なら翌月〜2ヶ月後が目安 | 給与明細を確認しつつ納付書を待つ |
1〜4月に退職した人の最後の給与が想定より少ない原因は、住民税の一括天引きです。5月分までの住民税を最後の給与でまとめて払っているため、手取りがごっそり減ります。
ただし、1〜4月の退職でも例外が2つあります。転職先が決まっていて給与天引きを引き継ぐ場合と、最後の給与や退職金が住民税の残額に足りない場合です。足りなかった分は、後日納付書で請求されます。
6〜12月の退職では、残りを自分で払う方式への切り替えが標準です。転職先が決まっていれば天引きの継続を、まとまったお金があれば最後の給与での一括天引きを、会社経由で選ぶ道もあります。
住民税の切り替えは会社が市区町村へ届け出るため、あなたが役所へ出向く必要はありません。なお、退職金にかかる住民税は支払い時に天引きされるのが原則で、あとから納付書で届く住民税とは別物です。
一方、健康保険・年金・雇用保険は自分で手続きする必要があります。全体の抜け漏れは次の記事で確認できます。

最後の給与明細の住民税欄は、あとで役所に問い合わせるときの手がかりになります。捨てる前に、写真だけ残しておくと安心です。
無職でも請求が来る理由|住民税は前年の所得への後払い


住民税は「前年の1月〜12月の所得」に対してかかる税金です。計算された1年分を、翌年の6月から翌々年の5月にかけて後払いで納めます。退職して収入がゼロになっても、前年に働いた分の請求はそのまま続きます。
会社員のときは、この1年分を12回に分けて給与から天引きされていました。給与天引きを「特別徴収」、納付書や口座振替で自分で払う方式を「普通徴収」と呼びます。退職すると天引きの担い手がいなくなるため、普通徴収へ切り替わるわけです。
「給与から引かれていたのに、また納付書が来た。二重払いでは?」と不安になる人もいます。実際は、天引き済みの分と納付書の分は対象の期間が違うため、二重払いではありません。納付書に書かれた期別と年度を見ると、どの期間の分か確認できます。
もう1つ混乱しやすいのが、引っ越しをしたケースです。住民税は「その年の1月1日時点で住んでいた市区町村」が1年分を課税します。退職後に引っ越しても納付先は変わらず、前の住所の自治体から納付書が届きます。
「引っ越したのに前の市から請求が来た」は正常な動きなので、慌てて放置しないでください。税額の計算方法や徴収の仕組みは、総務省の個人住民税の解説ページにまとまっています。






「去年の自分が今の自分に請求書を送ってくる税金」と覚えておくと、翌年の資金計画にも応用が利きます。
退職後の住民税はいくら?年収別の目安早見表


住民税の年額は「前年の課税所得の10%+約5,000円」が標準です。内訳は、所得に応じてかかる所得割が10%、定額の均等割が4,000円(標準)、あわせて徴収される森林環境税(国税)が1,000円です。
課税所得とは?
年収そのものではなく、年収から給与所得控除・基礎控除・社会保険料控除などを差し引いた後の金額です。住民税は、この課税所得に約10%をかけて計算します。
前年の年収別に、年額の目安を出すと次のとおりです。
| 前年の年収(額面) | 住民税の年額の目安 | 在職中の月あたり(12分割の目安) |
|---|---|---|
| 250万円 | 約9万円 | 約7,500円 |
| 300万円 | 約12万円 | 約1万円 |
| 350万円 | 約15万円 | 約12,500円 |
| 400万円 | 約18万円 | 約15,000円 |
| 450万円 | 約21万円 | 約17,500円 |
| 500万円 | 約25万円 | 約2万円 |
この表は、独身・扶養なし・社会保険に加入していた会社員を想定した概算です。扶養家族がいる人、生命保険料控除や住宅ローン控除がある人、副業所得がある人は実額がズレます。正確な金額は、届いた納税通知書と前年の源泉徴収票で確認してください。
注意してほしいのは、納付書1回分の請求額は、単純な「年額÷4」にはならない点です。普通徴収の納期は年4回が標準です。納付書で請求されるのは、給与から天引きできなかった「残りの分」を、退職時点で残っている納期に振り分けた金額です。
例えば前年の年収300万円・年額12万円の人が7月末で退職したとします。6月と7月の2ヶ月分は天引き済みなので、残り10ヶ月分の約10万円が納付書に回ります。残りの納期が2回なら1回あたり約5万円です。
毎月1万円だった負担が、1回5万円の請求書になって届くわけです。金額を見て驚くのは自然な反応ですが、計算としては間違っていません。納期の回数は退職時期と自治体の処理で変わるため、納付書の期別欄で確認してください。
私自身も、退職後の税金は事前に身構えていたつもりでした。それでも、いざ無収入で払う段になると気持ちが追いつきませんでした。






「月1万円×残り月数」で先に見積もっておくと、納付書が届いたときに少しは身構えられます。
納付書はいつ届く?届かないときの確認手順


6〜12月に退職した場合、納付書は退職の翌月〜2ヶ月後の中旬に届くのが目安です。月末退職なら2ヶ月後寄りになり、自治体の処理時期によって前後します。
1〜4月に退職して一括天引きが済んでいる人には、その年度の納付書は届きません。代わりに、6月中旬ごろ「前年分」の納税通知書が新しく届きます。
退職後の住民税は「二段構え」で来ます。1回目が退職時点の年度の残り、2回目が翌年6月に始まる前年分です。
2026年9月末に退職した人を例にすると、流れは次のとおりです。
- 2026年10月〜11月中旬: 今年度の残り分の納付書が届く
- 2027年6月: 2026年1月〜9月の所得に対する納税通知書が届く
1回目を払い終えて安心したころに、2回目が届きます。この2回分を見込んで資金計画を立ててください。
納付書が届かないときの原因は5つ
納付書が目安の時期を過ぎても届かない場合、原因はおおむね次のどれかです。
| 原因 | 確認方法 |
|---|---|
| 最後の給与で一括徴収済み | 給与明細の住民税欄を見る |
| 転職先で天引きを継続している | 転職先の給与明細を見る |
| 会社・自治体が処理中 | 2ヶ月の目安を過ぎたら電話で確認 |
| 住所変更・郵便転送の問題 | 転居届・転送設定を確認 |
| 前職が届出を出していない・記載不備 | 前職の総務へ確認 |
退職から1ヶ月半待っても届かず、役所へ問い合わせたら前の会社が届出を出し忘れていた、というケースもあります。「来ないからラッキー」ではなく、納税義務は残ったまま時間だけが過ぎている状態です。
確認の手順は3ステップで進めてください。まず最後の給与明細で住民税の控除額を見る、次に前職の総務へ処理方法を聞く、それでも不明なら1月1日時点の住所地の税務課へ電話する、という順番です。






電話の前に、給与明細と退職日をメモしておくと話が早いです。その場で照合してもらえて、二度手間になりにくいです。
納付書が届いたらやること|納期と支払い方法


納付書が届いたら、最初に見る場所は3つです。合計税額、期別ごとの金額と納期限、そして問い合わせ先の電話番号を確認してください。
普通徴収の納期は年4回が標準で、多くの自治体は6月末・8月末・10月末・翌年1月末に設定しています。日付は市区町村の条例で決まるため、手元の納付書に書かれた納期限が正解です。
支払い方法は、いまはかなり選択肢が広がっています。
- コンビニ・金融機関の窓口払い
- 口座振替(申込みが必要)
- 納付書のQRコード(eL-QR)を使ったスマホ決済アプリ払い
- クレジットカード払い(決済手数料が自己負担になる点に注意)
無職期間の出費管理なら、支払いの記録が残るスマホ決済か口座振替が扱いやすいです。ただし使える方法は自治体や納付書によって違うので、手元の納付書で確かめてください。カード払いは手数料がかかるため、ポイント還元と手数料を比べてから選んでください。
全期分を一度に払う必要はありません。期別ごとに、その納期限までに払えば延滞金は付かない仕組みです。手元資金が心もとないなら、1期分ずつ確実に払っていきましょう。
やってはいけないのが、自分の判断で少額だけ払って残りを先送りにするやり方です。納期限を過ぎた分には延滞金が付き、滞納の扱いも消えません。期限までに全額が難しいと分かった時点で、納付書に書かれた窓口へ早めに相談してください。
住民税が払えないときの相談先|分割・猶予・減免


「役所に払えないなんて言ったら、怒られるんじゃないか」。無収入で納付書を前にすると、電話1本がとても重く感じるものです。実際には、納期限前の納付相談は窓口で日常的に受け付けている手続きです。相談したからといって、すぐに取り立てが厳しくなるわけではありません。
相談が遅れるほど、選択肢は減っていきます。使える制度は大きく4つです。
| 制度 | 使える人 | 効果 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 分割納付の相談 | 一括で払えない事情がある人 | 月々の支払額を生活の実情に合わせて相談 | 税額は減らない。延滞金が必ず止まるわけではない |
| 徴収猶予 | 病気・災害・事業の廃止など法定の事由がある人 | 最長1年(延長で計2年以内)待ってもらえる。猶予中の延滞金は全部か一部が免除 | 「失業した」だけでは自動的に対象にならない |
| 換価の猶予 | 払うと生活の維持が難しくなる人 | 原則1年以内の猶予。延滞金の一部免除 | 申請期限を設ける自治体が多い |
| 減免 | 自治体の条例基準を満たす人 | 税額そのものが全部か一部減る | 要件は自治体ごとに大きく違う |
4つのうち、まず相談したいのは分割納付です。誰でも申し出られる入り口で、月々の支払額を生活の実情に合わせて相談できます。ただし分割は法定の猶予制度ではなく、合意ベースです。分けて払っても延滞金や差押えが自動で止まるとは限らないため、何を条件に分割できるかを窓口で確かめてください。
徴収猶予と換価の猶予は、どちらも延滞金の負担が軽くなる法律上の制度です。徴収猶予は病気や災害などの事由がある人、換価の猶予は払うと生活が立ち行かなくなる人が対象です。とくに換価の猶予は、納期限から6ヶ月以内など申請期限を設ける自治体が多いので、使えそうなら早めに確認してください。
どの制度も、相談・申請の窓口は市区町村の納税課(減免は課税を担当する部署)で、決定までにかかる日数は自治体によって差があります。
最初の1本は「納付書に書いてある納税課」へ
納付書に印刷された納税課・収納課の番号へ電話します。「退職して収入がなく、期限までに全額を払えそうにない」と伝えるだけで、担当者が使える選択肢を案内してくれます。
このとき伝える内容は3つで足ります。
- 退職日
- いまの収入の状況
- 毎月いくらなら払えるか
準備に時間をかけるより、納期限前に電話する早さを優先してください。
減免は「失業したら誰でも」ではない
住民税の減免は、ハードルが高めです。例えば目黒区の2026年度は、次の3つをすべて満たして、はじめて対象になります。
- 前年の合計所得が250万円以下
- 雇用保険の離職理由コードが会社都合や正当な理由のある自己都合に当たる
- 当年の所得見込みが、同居親族を含めて生活保護基準以下
一般的な自己都合退職は対象外になりやすく、失業を理由とした減免の規定自体がない自治体もあります。目黒区では申請期限も納期限までです。確実なのは、自分の市ではどうかを電話で確かめることです。
国民健康保険と国民年金には、住民税とは別の減免・免除制度があります。窓口や必要書類はそれぞれ違いますが、同じ時期にまとめて相談すると月の固定費が大きく変わります。あわせて確認してください。
国民健康保険への切り替え方と国民年金への切り替え方で、手順と必要書類を説明しています。
家計全体が苦しいなら自立相談支援機関へ
住民税だけでなく家賃や食費まで危ういなら、税金の窓口より先に、生活困窮者自立支援制度の自立相談支援機関へ相談してください。全国の自治体に窓口があり、家計の立て直しを無料で一緒に設計してくれます。病気で働けない状態の人も、税金の分割より先にこちらが優先です。
私も2社目を辞めたときは子どもが生まれる時期と重なり、収入が止まる怖さを身をもって知りました。だからこそ、1人で抱えて滞納するより、相談で乗り切る道を選んでほしいのです。
生活費全体のやりくりは次の記事でまとめています。


払えないまま放置するとどうなる?延滞金と差押えの流れ


「納付書が来ないなら払わなくていいのでは」「届いたけど見なかったことにしたい」。気持ちは分かりますが、放置だけは選ばないでください。住民税の納税義務は、納付書が手元にあるかどうかとは関係なく続いています。
放置した場合の流れは、法律でほぼ決まっています。
- 納期限の翌日から延滞金が付き始める
- 納期限から20日以内を目安に督促状が届く
- 督促状の発送から10日を過ぎると、法律上は財産の差押えができる段階に入る
2026年の延滞金の割合は、納期限の翌日から1ヶ月までが年2.8%、1ヶ月を過ぎた分から年9.1%です。日割りで計算されるため、初日から全額に9.1%がかかるわけではありません。
目安として、10万円を3ヶ月放置すると延滞金は約1,700円です。金額だけ見ると小さく感じますが、本当に怖いのは延滞金よりも差押えです。
差押えの対象は預金口座や給与です。督促状の10日後に自動で実行されるわけではありません。ただ、法律上の予告は督促状で済んでいるため、実行の直前に改めて連絡が来るとは限りません。再就職後に給与を差し押さえられると、勤務先を通じて手続きが進むため、新しい会社に滞納の事実が知られてしまいます。
逆に言えば、督促状が届いた後でも、電話をかけて相談すれば分割の道は残っています。「もう期限を過ぎたから相談できない」は誤解です。滞納の期間が延びるほど条件は厳しくなるので、気づいた日に電話してください。






延滞金の割合は毎年見直されます。ここで挙げた数字も、実際は納付書や自治体サイトの最新値と合わせて見てください。
翌年の住民税に備える|非課税の収入と控除を味方にする


退職した年にまとまった所得があれば、その分の住民税が翌年6月にあらためて課税されます。いま手元の納付書を払い終えても、最後の給与から一括徴収で払い終えても、翌年6月の分は別に残ります。この2回目に備えて、今からできる動きがあります。
まず知っておきたいのが、失業給付(雇用保険の基本手当)は非課税という事実です。雇用保険法12条で税金をかけないと決まっているため、いくら受給しても翌年の住民税は増えません。受給資格があるなら、遠慮なく受け取ってください。
失業給付金はいくら・いつから何日もらえるかは、月給別の早見表付きで説明しています。
次に、退職後に自分で払った国民健康保険と国民年金の保険料です。両方とも社会保険料控除の対象なので、確定申告(年内に再就職したら年末調整)で申告すると、所得税だけでなく翌年の住民税の計算にも反映されます。
申告を忘れると、払った保険料は控除に入りません。再就職した年なら年末調整、していないなら確定申告で、忘れずに申告してください。
そして、いちばん現実的な備えは、収入の空白を短くすることです。再就職しても、住民税そのものは1円も減りません。それでも、毎月の給与があれば納付書は怖くなくなり、転職先に頼めば給与天引き(特別徴収)への切り替えも相談できます。天引きに戻れば、納期限を自分で管理する手間がなくなります。
私も29歳の退職では、雇用保険をもらいながら転職活動をしました。当時は「制度の手続きは何から手をつければいいか分からないし、求人探しと並行するのは骨が折れる」と思い込んでいたほどです。それがエージェントの初回面談で、生活面の段取りごと一緒に整理できました。翌日には求人が20件届いて、活動が一気に回り始めました。
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まとめ|住民税は「知らなかった」が一番高くつく
退職後の住民税は、前年の所得への後払いです。金額は前年の年収300万円で年約12万円が目安、納付書は6〜12月退職なら多くの場合翌月〜2ヶ月後に届き、翌年6月にはもう一度、住民税がかかります。仕組みさえ分かれば、いつ・いくら来るかを自分で読み取れます。
金額に一度は驚いても、仕組みが分かれば落ち着いて向き合えます。次は、支払いの段取りを具体的に決めていく番です。
今日やること
- 最後の給与明細を開いて、住民税の控除額を確認する
- 手元の納付書の納期限をカレンダーに入れる
- 期限までに払えないと分かっているなら、納付書の電話番号へ電話する
電話1本は気が重いものですが、納期限前に動けば、分割や猶予を相談できる余地が広がります。動き出してしまえば、住民税は「怖い封筒」から「予定どおりの支払い」に変わります。
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