SaaS営業は業界未経験でも転職できる?20代営業経験者の求人選び
「SaaS営業が気になるけれど、何を売る仕事なのか、今の営業経験で移れるのか分からない」。給料や将来性が話題になっていても、仕事内容が見えないままでは転職先として判断しにくいですよね。
SaaSは、インターネット経由で使うソフトウェアです。人事や経理などの業務を支えるサービスがあり、営業は顧客の困りごとに合わせて導入を提案します。業界未経験でも、求人が求める営業経験に合えば応募候補にできます。
ただし、業界への期待だけで、自分の給料や働き方がよくなるとは限りません。この記事は営業経験のある20代に向けて、SaaSの仕組み、営業の仕事、給与・将来性、自分との相性を説明し、具体的な求人と今の経歴を照合します。SaaSの知識は前提にしていません。
SaaSとは?営業が提案するサービスと仕事を知ろう

SaaSという言葉だけでは、何を売る仕事なのか想像しにくいですよね。ここではサービスの仕組みと身近な業務の例を知り、営業が顧客へ何を提案するのかを見ていきましょう。
ネット経由で、必要なソフトウェアを使い続ける仕組み
SaaS(サース)は「Software as a Service」の略です。クラウドサービスを提供するAWSのSaaS解説では、ソフトウェアをネット経由で利用し、提供会社がシステムの運用・保守を担う仕組みと説明されています。料金は一般に、月額・年額などの継続課金や、利用量に応じた課金です。
身近な例は、会社で使うWebメールや、オンラインで情報を共有するツールです。法人向けには、人事・経理・営業支援などのサービスがあります。株式会社SmartHRが提供する人事労務ソフト「SmartHR」には、入社手続き、給与明細の配付、年末調整、人事評価などの機能があります。
「SaaS業界」と呼ばれますが、SaaSは厳密にはソフトウェアの提供方法です。何の業務を助ける製品なのかまで見ると、営業として学ぶ内容や、話をする相手を想像しやすくなります。
売るのは機能だけでなく、顧客の仕事をどう変えられるか
たとえば人事の手続きを支えるサービスなら、顧客が今どんな方法で書類を集め、どこで確認や入力に手間がかかっているかを聞きます。そのうえで、サービスを使うと何が変わるかを提案します。機能の多さだけでなく、顧客の業務に合うかを考える仕事です。
こうした仕事の例として、業務改善ツールを提供するサイボウズの公式営業募集でも、業務の改善、新規導入、既存顧客の利用拡大に向けた提案が挙げられています。有形商材や他のサービスの営業でも課題を聞く経験は活かせますが、転職後は製品でできることと、顧客の業務を新しく学ぶ必要があります。
求人には次の略語も出てきます。顧客管理ソフトなどを提供するSalesforceの営業の分担についての解説を踏まえると、代表的な役割は次のとおりです。
- IS(インサイドセールス):電話・メール・オンラインなどで顧客と接点を持ち、課題や検討状況を聞いて商談につなぐ。単にアポイントを取るだけとは限らない。
- FS(フィールドセールス):商談で提案・交渉を進め、契約へつなぐ。オンライン商談もあり、必ず訪問する仕事ではない。
- CS(カスタマーサクセス):導入後の使い方や業務での活用を支える。Salesforceのカスタマーサクセスの解説でも、顧客がサービスを活用して成果を得るための支援と説明されている。
営業が契約後のどこまで関わるかは、会社やチームで異なります。
SaaSでは継続利用を前提に、導入後の活用につながる提案が重要になります。ただし、他業界にも保守や既存顧客への提案はあります。「今の営業と何が違うか」は、売り切りかどうかだけでなく、顧客・商材・自分の担当範囲で比べましょう。
SaaS営業の給料と将来性は、どう考える?

給料や将来性は、転職先を考えるときに気になりますよね。業界の需要と求人の給与条件を分けて、今の仕事から変えたいことに合うかを考えましょう。
給与は、求人年収の固定分と成果給を分けて見る
SaaSに移れば必ず年収が上がる、とはいえません。ここでは業界の平均ではなく、営業経験を求めるSmartHRのIS求人(東京・SMB領域)を例にします。主に従業員51〜500名の企業を担当する募集で、2026年10月4日の確認時点の条件は次のとおりです。
- 年収:467万6,000〜700万円
- 成果給を除く年収:400万8,000〜600万円
- 月例給与に含まれる手当:45時間分の固定残業代と8時間分の深夜労働手当
成果給を除いた金額にも、固定残業代などが含まれます。「成果給なしの年収」と「基本給だけの年収」は同じではありません。この募集には営業経験の必須条件もあり、SaaS業界未経験者全体の相場や、あなたの提示額を示す数字ではありません。
今の給与と比べるときは、基本給・手当・賞与・成果給を同じ項目で並べましょう。成果給が出ない場合の収入でも生活が成り立つか、どの成果をどう評価する制度なのかまで分かると、転職で変わる収入を考えやすくなります。
求人の年収上限なら希望額に届いても、成果給を除く提示額では届かないなら、成果給の支給条件と見込みを確かめるまでは年収アップを前提にしません。固定分で必要な収入を満たし、役割と働き方も合う求人を候補に残しましょう。
業務を効率化する需要はあるが、個人の成長は仕事の中身で変わる
市場調査会社・富士キメラ総研の「ソフトウェアビジネス新市場 2026年版」の公開紹介では、業務の効率化や運用費用の削減などを背景に、クラウド型ソフトウェアの需要が伸びていると説明されています。対象はSaaSに加えて開発基盤なども含む市場で、SaaS営業だけの成長率や給与の予測ではありません。
企業の業務改善に関わる提案を経験できることは、この仕事を選ぶ理由になります。顧客の仕事を整理し、導入の効果を説明する経験を伸ばしたい人には、検討する価値があります。一方、同じ公開紹介はAIによってサービスの提供価値が変わる点も扱っており、今の製品や売り方が変わらず続くとは限りません。
商材の更新や顧客の業務を学ぶことに加え、架電・新規開拓・商談数などの目標もあります。顧客の業務整理や導入提案を伸ばしたいなら、その仕事を担当できる求人が転職目的に合います。一方、架電の負担を減らしたいなら、SaaS業界という理由だけでは目的を満たせません。市場の需要と自分の昇給を一緒にせず、何を経験でき、その成果がどう評価される仕事かで考えましょう。
どんな人に合いそう?希望と行動で確かめよう

SaaS営業との相性は、「話すのが得意」「ITが好き」といった言葉だけでは決められません。前に挙げたサイボウズの募集では、業務改善の提案に加え、知見の共有や継続的な学習も求めています。こうした職務から考えると、次の希望や行動は仕事との接点になりそうです。
| 今の希望・行動 | SaaS営業で考える接点 |
|---|---|
| 商品説明だけでなく、顧客の困りごとを聞きたい | 今の業務と、導入後に変えたいことを整理する |
| 知らない商材を調べ、人に聞きながら学べる | 製品の機能・更新と、顧客の業務を理解する |
| 提案の結果を振り返り、やり方を変えたい | 商談の進み方や顧客の反応から改善を考える |
これは性格による適性判定ではなく、仕事内容と希望を照らす見方です。「電話を減らしたい」のに架電が中心のISを選ぶなど、希望と担当業務がずれることもあります。興味のある仕事と、避けたい負担の両方を言葉にしておきましょう。
応募前の小さな試し方として、公式の製品紹介を1つ見て、次の3点を書いてみてください。
- 誰の何を助けるか:使う担当者と、減らせる手間や困りごと。
- 今の方法と何が変わるか:手作業や別のシステムと比べた違い。
- 顧客に何を聞きたいか:提案する前に知りたい業務や課題。
たとえばSmartHRの入社手続きの紹介なら、「人事担当者が書類を集める仕事をどう変えられるか」「今どんな方法で集めているか」を考えられます。分からない言葉を調べながら、顧客の仕事へ関心を持てるかを試すための方法です。うまく書けたかどうかで、採用の可能性を判定するものではありません。
SaaS業界未経験でも応募できる?今の営業経験から求人を選ぶ

他業界で営業をしてきた人も、SaaS経験を必須にしていない求人で、求められる営業経験に合えば応募を検討できます。まずは、SaaS経験が必要かどうかと、今の営業経験が条件に合うかを分けて読むことから始めましょう。
SaaS経験が必須か、歓迎かを見分ける
「必須」は応募に求められる経験や学歴など、「歓迎」はあると評価される経験などです。SaaS経験が歓迎に書かれているなら、その経験がないことだけで外さず、ほかの必須条件を満たすか確認しましょう。
2026年10月4日に確認したSmartHRのIS募集にはSaaSなどの提案経験を歓迎条件とする例があり、ラクスのFS募集には法人向け商材の営業経験を求める例があります。業界経験と営業経験の条件は分けて読めますが、ここでは募集条件の一部だけを挙げているため、応募を検討するときは求人全体の必須条件を確認してください。
歓迎のSaaS経験がなくても、必須の営業経験に合う求人は候補に残せます。一方、SaaS営業の実務経験そのものが必須なら、今の経験に合う別の募集も探しましょう。
顧客・商材・担当範囲で、今の営業との接点を見る
「営業を3年経験した」という説明だけでは、求人の条件に合うか分かりません。無形商材は広告・人材サービスなど形のない商材、有形商材は機器や部品などです。次の項目を、実際に担当した内容で書き出してみてください。
- 顧客・商材:法人か個人か。何の商品・サービスを提案していたか。
- 新規・既存:新規開拓、既存顧客への追加提案、更新対応のどれを担当したか。
- 担当範囲・期間:商談を作る、提案する、契約する、組織を管理するなど。各業務をどのくらい担当したか。
たとえば、法人ルート営業の経験は、次のように整理できます。これは説明のための仮例です。
法人の既存顧客へ機器の追加提案を3年間担当。訪問・提案・契約まで対応し、新規開拓は担当していない。
この場合、法人ルート営業の経験を求める募集は候補になります。一方、無形商材の新規営業を必須とする募集では、その経験を満たしたとはいえません。同じ「営業経験者向け」の求人でも、顧客や担当業務によって合う条件が変わります。
| 今の経験 | 求人で確かめる条件 |
|---|---|
| 無形商材の法人新規営業 | 同じ顧客・商材・新規営業の経験を求めているか |
| 有形商材の法人ルート営業 | 有形商材や既存顧客への営業経験も対象か |
| 個人向け保険営業 | 個人営業も対象か。法人営業の経験と読み替えない |
| 他業界でのIS | 商談を作る業務や、求める経験期間が合うか |
| 営業組織の管理 | 管理経験を応募条件に含むか。求める管理範囲が合うか |
営業経験以外の必須条件も別に確認しましょう。条件に合うことは採用の保証ではありませんが、応募を検討する入口になります。求められる仕事との接点が分かれば、応募書類でどの経験を具体的に伝えるかも整理できます。
条件が合う・曖昧・足りない場合で、次の行動を選ぶ

経験を書き出したら、求人の必須条件と比べます。希望する求人の条件に届かなくても、実際の経歴を伝えて応募を受け付けてもらえるか確認できます。今の経験に合う別のSaaS営業の募集も、並行して探しましょう。
| 条件との照合結果 | 次の行動 |
|---|---|
| 必須条件に合う | 歓迎経験が少ないだけで外さず、応募準備と待遇の比較へ進む |
| 年数や「準ずる経験」の解釈が曖昧 | 求人と具体的な経歴を伝え、応募を受け付けてもらえるか確認する |
| 必須の経験・学歴に明確に届かない | 条件を満たしたと記載せず、実際の経歴で応募できるか確認する。今の条件に合う別求人も探す |
たとえば、法人新規営業3年以上が必須で、自分の経験が2年なら、応募書類に3年と書くことはできません。その経歴で応募を受け付けるかは、企業の採用窓口や求人を扱うエージェントへ確認しましょう。
この求人は法人新規営業3年以上が必須ですが、私は広告の法人新規営業を2年担当しており、応募を受け付けてもらえますか。今の経験に合うほかの募集があれば、併せて教えてください。
「この経歴でも応募対象です」と具体的に返ってきたら、候補に残せます。「選考で判断します」という返答は、条件を満たすという確約ではありませんが、応募の拒否とも限りません。応募を受け付けてもらえるなら、希望求人の選考を受けながら、ほかの求人も比較できます。受付の可否が分からなければ、まずそこを確認しましょう。
商材の知識は公式の製品紹介などで準備できます。ただし、自己学習や資格取得で、必須の実務経験や年数を満たしたことにはできません。実際の経歴を伝えて応募を受け付けてもらえるなら、学びながら準備を進められます。応募を受け付けてもらえない場合は、今の経験に合う別の募集を探し、希望求人を後で狙うなら必要な実務経験を積む方法も考えましょう。
応募を検討する求人が見つかったら、次は自分の希望に合う仕事かを確かめましょう。担当業務、入社後の支援、出社頻度などを比べることで、今の仕事から変えたいことを実現できそうか判断できます。
応募前に、担当業務・入社後の支援・出社条件を確かめる

応募を検討する求人が見つかったら、今の仕事から変えたいことに合うかを見ます。給与だけでなく、実際に担当する仕事と働く場所も判断材料です。以下も2026年10月4日に確認した各求人の条件です。
架電や新規開拓、契約後の担当範囲を具体的に見る
SmartHRのIS求人は電話・メールで顧客との接点を持ち、商談の質と量を高める仕事です。SmartHRのFS求人は主にISが作った商談から提案・契約・導入まで担当しますが、一部チームでは自ら商談を獲得します。
ラクスのFS求人は反響営業が中心とされる一方、配属先によってパートナーとの業務などもあります。「ISなら電話が減る」「FSなら新規開拓をしない」とは決めず、希望と実務を比べましょう。
- 電話を減らしたい:接点は電話とメールがそれぞれどのくらいか。架電数と商談の質をどう評価するか。
- 新規開拓の負担を減らしたい:FS自身が商談を獲得する割合と方法はどうか。
- 契約後まで関わりたい:営業は契約・導入のどこまで担当し、その後は誰へ引き継ぐか。
配属予定チームの業務や評価まで具体的に分かれば、自分の希望と比べられます。「分業しているので安心」といった説明だけなら、実際の担当範囲をもう一段聞いてください。営業を続けるか迷う場合は、営業経験を活かせる仕事と、続けたい業務・減らしたい負担の整理も参考になります。
学ぶための支援と、通勤できる条件を確かめる
SmartHRのIS求人には、担当者が1対1で支援する体制やロールプレイなどの予定が記載されています。ラクスのFS求人も、商材理解やデモ・ロールプレイ、上司の確認を経て担当顧客を持つ流れを示しています。
研修があることは、応募条件の免除でも成果の保証でもありません。何を練習してから顧客を担当するのか、独り立ちの基準と相談相手が分かると、入社前後の準備を考えられます。
SmartHRのIS・FS求人はフルリモート不可で、ISは入社後1か月の原則出社が記載されています。ラクスのFS求人のテレワーク制度は毎週水曜日です。リモート勤務の記載だけで、遠方の自宅から働けるとは判断せず、転居なしで通えるかを確認しましょう。
希望する担当業務、通える勤務地・出社頻度、固定分を含む給与の内訳が具体的に分かったら、候補を比較できます。入社を決める前には、求人の説明だけでなく個別の提示条件を確認しましょう。
まとめ|仕事内容への関心と、経験・待遇の条件を合わせて選ぼう
初めて扱うサービスへの転職は、不安になりますよね。SaaS営業は、ソフトウェアで顧客の業務をどう変えられるかを提案する仕事です。まずはその仕事に関心を持てるか、そのうえで今の営業経験と求人条件が合うかを考えましょう。
- 顧客の業務を聞き、商材を学ぶ仕事が自分の希望に合うか。
- 必須・歓迎条件を分け、顧客・商材・担当範囲・年数が合うか。
- 給与の固定分・成果給、実際の担当業務、出社条件が生活に合うか。
次は、公式の製品紹介と求人を1件ずつ見てみましょう。興味を持てる商材なら、求人の必須条件の横に自分の業務と期間を書いてみてください。条件が合えば応募準備へ、不明点があれば採用窓口や取扱エージェントへの確認へ進めます。
自分で照合しても、営業経験に合う企業をどう探すか、どの求人を候補にするか迷う場合は、SaaS営業に詳しい相談先を使う方法もあります。
マーキャリNEXT CAREERは、SaaS企業のIS・FSなどに特化した転職エージェントで、営業経験を活かす企業選びを担当者へ相談できます。
対象は20・30代で営業またはマーケティング経験があり、1年以内に転職を考える人。希望求人の紹介は個別の判断です。申込み前にマーキャリの申込対象条件(公式フォーム)を確認し、求人と経歴を整理しましょう。

