転職は本当に売り手市場?正社員1倍とdoda約2.9倍から考える
「正社員の有効求人倍率は1倍。なら、売り手市場ではないのでは?」。転職を考えていると、求人が多いという話との違いが気になりますよね。求人倍率は、求職者1人に何人分の募集があるかを表す数字です。募集が求職者より多く、求職者側に有利に働く市場を「売り手市場」と呼びます。
ハローワークの正社員1倍だけで、今の転職市場が売り手市場ではないとは言い切れません。民間のdodaでは約2.9倍で、同サービスの求人数も前年より増えています。dodaを通じた中途採用では、求人需要の強さが見えてきます。
ただし、2つは同じ求人・求職者を数えた倍率ではありません。この記事では、数字が違う理由から今の市場をどう評価できるかまで説明します。「1倍だから諦める」「約3倍だから簡単に受かる」のどちらにも偏らず、何が追い風になり、どんな求人なら自分の機会になるのかを判断できます。
正社員有効求人倍率1.00倍だけで「売り手市場ではない」と言い切れる?

言い切れません。1.00倍は、ハローワークで扱う正社員求人と一定の求職者数を比べた値です。民間のサービスまで含めた転職市場全体の集計ではありません。
厚生労働省が2026年10月2日に公表した8月分では、正社員有効求人倍率は1.00倍です。この数字が表すことと、表さないことを順に見ていきます。
売り手市場・買い手市場とは?倍率の意味を人数で考える
一般的な目安は、1倍超=売り手市場、1倍未満=買い手市場、ちょうど1倍=募集人数と求職者数が同程度です。
労働力を提供する求職者が「売り手」、賃金を払って雇う企業が「買い手」です。募集人数の方が多ければ求職者が、求職者の方が多ければ企業が選びやすくなります。
求人倍率は「募集人数÷求職者数」。求職者100人の架空の例で考えると、次のようになります。
- 募集120人:120÷100=1.2倍 → 売り手市場の目安。
- 募集100人:100÷100=1倍 → 人数は同程度。
- 募集80人:80÷100=0.8倍 → 買い手市場の目安。
これは集計範囲内の需給の目安であり、転職市場全体や本人の内定を保証する数字ではありません。
求人倍率2倍でも人気企業は難関?「応募倍率」とは逆の数え方
求人倍率は、ある集計範囲の「募集人数÷求職者数」です。一方、ここでいう個々の求人の応募倍率は「応募人数÷採用予定人数(募集枠)」。前者は仕事と人の需給、後者はその募集へ何人が集まったかを見る数字です。
架空の例として、ある市場に100人分の募集があり、求職者が50人なら求人倍率は2倍です。それでも人気の会社が2人を採る募集へ20人応募すれば、その募集の応募倍率は10倍になります。
市場全体には募集が多くても、希望する会社に応募が集中することはあります。同じ人が複数社へ応募する場合もあるため、市場の求職者数と各社の応募人数も同じではありません。
したがって「求人倍率2倍だから2回応募すれば受かる」「1社落ちたから売り手市場ではない」とは判断できません。数字を読むときは、仕事と人の比なのか、応募先の競争なのかを区別しましょう。

求人倍率は市場の人数比です。高くても、応募する会社の選考が楽とは限りません。
ハローワークの統計は、転職市場全体の集計ではない
ハローワークの求人・求職と、dodaなどの民間サービスを通じた求人・転職希望者は、すべてが一致するわけではありません。民間だけにある募集や、民間で活動する人もいるためです。
ハローワークの数字から分かるのは、主にハローワークが扱う範囲の需給です。民間サービスを利用して転職するなら、そのサービス内の動きも合わせて見る意味があります。
だからといって、ハローワークが参考にならないわけではありません。同じ統計を継続して見れば需給の変化を追えますし、地域別の動きも判断材料になります。一つの統計に、市場全体の説明を求めすぎないことが大切です。
新卒の売り手市場は、中途にも当てはまる?
新卒採用と中途採用では、募集枠も参加する求職者も異なります。例えば新卒の募集が増えても、その枠へ在職中の転職希望者が同じ条件で応募できるとは限りません。新卒の好況を、中途へそのまま当てはめないようにしましょう。
この記事で見るのは、新規学卒を除くハローワークの統計と、dodaの中途採用の指標です。自分の転職を考えるときは、中途採用の動きを確認する必要があります。
正社員の倍率も「正社員希望者だけ」で割っていない
計算の分子は、正社員の月間有効求人数です。分母は、パートを除く常用の月間有効求職者数で、派遣・契約社員を希望する人も含みます。


分母は正社員希望者だけではありません。厚生労働省も、厳密な意味での正社員有効求人倍率より低い値になると説明しています。この公式画面にも、その条件が書かれています。
ただし、この注記から「本当は何倍か」を計算し直すことはできません。1.00倍は大切な観測値ですが、それだけを根拠に正社員転職全体が厳しいと決め付けるのは早い、ということです。







正社員1倍は、ハローワークの範囲で見た数字です。それだけで転職市場全体を決め付けないのがポイントです。
dodaでは約2.9倍。なぜこれほど数字が違うのか


2026年10月23日時点で、dodaの最新の転職求人倍率は9月の2.89倍です。公表日は10月22日で、ハローワークの最新8月分とは対象月が異なります。
まず同じ8月でそろえると、次の違いがあります。時期のずれだけで、倍率の差が生まれているわけではありません。
| 2026年8月 | 倍率 |
|---|---|
| ハローワーク:正社員有効求人倍率 | 1.00倍 |
| ハローワーク:有効求人倍率(全体) | 1.18倍 |
| doda:転職求人倍率 | 2.86倍 |
ハローワークの2つは、季節的な変動をならした季節調整値です。全体の1.18倍にはパートも含まれ、正社員の1.00倍とは対象が違います。表も最新の2.89倍も、20代限定の数字ではありません。
同じ月でも、数える求人と求職者が違う
ハローワークの正社員倍率は、正社員の募集人数と、パートを除く常用の求職者を比べます。dodaは、同サービスの採用予定人員を、会員登録者をもとに独自定義で集計した転職希望者数で割っています。
集計する企業や求職者の範囲が変われば、人数の比も変わります。同じ求人・同じ人を数え直した数字ではないため、1.00倍と2.86倍の差を、転職しやすさの差には換算できません。
「有効」とはいつの求人?求人票の枚数との違い
求人数は、求人票の枚数ではなく募集する人数です。例えば1枚の求人票で5人を募集すれば、人数では5人分となります。倍率は割合の%表示ではなく、募集と求職の人数比を「倍」で示しています。
ハローワークの「有効」は、その月の新規分に、有効期限が続く募集・求職の繰越分を含むという意味です。
募集側はまだ採用できていない人数、求職側はまだ就職が決まっていない人を繰り越します。過去の求人や登録者を、無期限に積み上げた数字ではありません。
民間の数字は補完になるが、市場全体の「正解値」ではない
dodaの倍率は、ハローワークだけでは分からない民間の中途採用動向を知る材料になります。一方で、他社サービスや企業への直接応募まで含む、全国すべての求人・転職希望者の集計ではありません。
2つを見比べる目的は、高い方を市場全体の正解にすることではなく、観測する範囲を広げることです。倍率を足したり平均したりしても、市場全体の倍率にはなりません。
したがって、「1倍だから売り手市場ではない」に対して「dodaは約3倍だから、全国どこでも3倍有利」と返すのも不適切です。次は、民間側にどんな採用需要が見えるのかを確かめます。







1倍と約2.9倍は、数える範囲が違います。高い方を正解にせず、両方から市場を見ましょう。
両方のデータから、今の転職市場をどう見る?


正社員1.00倍だけで、転職市場全体を買い手市場とみなすのは早いでしょう。dodaの求人増に加え、企業側の人手不足感もあり、求職者に追い風となる採用需要はあります。
ただし、需要の強い職種とそうでない職種は分かれます。今の市場を評価するには、需要の根拠と、自分が受けられる恩恵の両方を見る必要があります。
dodaの求人増と企業の不足感から、採用需要の強さが見える
dodaの2026年9月の倍率は2.89倍で、前年同月の2.43倍を上回っています。その中身と、別の角度から見た採用の動きは次のとおりです。
- dodaの2026年9月:求人数は前年同月比16.8%増、転職希望者数は同1.7%減。
- 企業側の2026年8月:厚労省の調査では、正社員等が不足する事業所の割合が、過剰とする割合を上回る。
- ハローワークの2026年8月:新規求人数は前年同月比3.4%減。
dodaの高い倍率は、希望者が減っただけで生じたわけではありません。採用予定人員も増えており、同サービスを通じた中途採用需要の強さが読み取れます。
企業側の調査は、厚生労働省の8月1日時点の労働経済動向調査です。主な産業の常用労働者30人以上の民営事業所が対象で、有効回答は3,175事業所でした。
小規模事業所まで含む全企業の調査ではありませんが、民間サービスとは別に不足感を確かめられます。また、ハローワークの新規求人とdodaの求人数は、月も集計範囲も違うため、増減を単純に相殺はできません。
採用需要の追い風はあるものの、すべての市場が同じ勢いで伸びているわけではない。弱い動きも需要の強さも、両方を残して評価するのが妥当です。
売り手市場はいつまで続く?人口構造と景気は分けて考える
人手不足には、目先の求人増だけでなく働き手の減少という背景があります。国立社会保障・人口問題研究所の2023年推計では、15~64歳の人口は長期的に減少する見通しです。
これは2020年の国勢調査を出発点とした出生中位・死亡中位の推計です。人口の見通しであり、将来の求人数や求人倍率そのものを予測した数字ではありません。
企業の採用需要は、景気、事業の拡大・縮小、省力化などでも変わります。長期的な人手不足の背景があっても、「いつまで同じ強さの売り手市場が続く」とは決められません。
だからこそ、「今しかない」と退職を急ぐより、在職中に求人を見ておく方が、機会と現職を比較しやすくなります。市場動向を理由に、転職の決断まで急ぐ必要はありません。
売り手市場のメリットは?選べる求人・条件・採用の進み方が変わる


求職者にとっての利点は、単に求人票が増えることだけではありません。採用したい企業が人材確保で競い合うと、求職者が応募先を比較し、希望条件を相談する余地が生まれます。
企業間競争がどんな機会になるのかを、選択肢・条件・採用の進み方に分けて考えます。いずれも、自分の経験や希望に合う募集があるかが出発点です。
同じ経験を求める企業を比較し、働き方を選びやすい
一社しか候補がなければ、その条件を受け入れるか見送るかの二択になりがちです。同じ経験を必要とする募集が複数あれば、仕事内容や給与、勤務地などを比べて応募先を選べます。
例えば工程管理の経験がある人なら、年収が高く転勤もある募集と、年収は同程度でも勤務地を限定できる募集を比べられます。転居しないことが優先なら、後者を選ぶ理由ができます。
業界名や会社の知名度だけで絞らず、担当できる仕事から探すことも比較の幅を広げます。例えば食品工場で生産日程や人員を調整してきた人なら、別製品の工場の募集にも、その業務との接点がないか調べられます。
ただし製品や設備の知識、品質基準まで同じとは限りません。経験が使える部分と新しく学ぶ部分を分け、求人の必須条件と育成範囲を確認します。別業界なら必ず受かるという話ではなく、比較する候補を発見する見方です。
人材を確保するため、企業が条件を見直す動機になる
企業にとっては、募集しても必要な人が入らなければ業務や事業計画を進めにくくなります。他社へ候補者が流れるなら、給与や働き方、育成環境など、自社を選んでもらう条件を考える動機になります。
架空の例ですが、必要な経験を持つ人が「始業時刻が早く、通勤が難しい」と応募をためらっているとします。採用したい企業が始業時刻を相談できるか検討し、業務上も調整できれば、その人にとって応募できる選択肢になります。
これは条件を見直すことで人材確保につながる仕組みの例です。勤務の調整が可能かは企業・職務次第なので、実際に変更できる条件かは相談して確かめます。全社に同じ制度があるという意味ではありません。
給与を相談するときは、経験と希望額の理由を伝える
求職者側も、提示された条件と自分の希望を照らして相談することは可能です。例えば経験を活かして任せられる業務が広がるなら、その経験と希望年収の理由を結び付けて伝える、という考え方です。
もっとも、給与には企業の制度や任せる役割による範囲もあります。人手不足でも一律に上げられるとは限りません。求人の上限年収を自分の予定額にせず、何を任せる人への金額かまで確かめます。
dodaの給与交渉ガイドでは、希望年収を聞かれたときや内定後のオファー面談が相談の機会とされています。自己応募なら待遇を扱う企業の窓口へ、エージェント経由なら利用中の担当者へ相談しましょう。
他社への流出を避けようと、採用判断が早まる場合がある
候補者がほかの企業も検討していれば、選考を長引かせる間に他社への入社を決めるかもしれません。企業が採りたい人には、面接日程や社内の判断を早めて意思を示す動機があります。
例えば二社の選考を受ける人に対し、一社が面接後の連絡を長く保留すれば、その人は先に条件が分かった会社を選ぶ可能性があります。これは企業が判断を急ぐ理由を示す架空の例です。
dodaの企業向けガイドも選考期間の短縮を勧めています。待つ期間が短くなれば比較や予定を進めやすくなりますが、企業への助言であり、全員の内定が早まるという調査結果ではありません。
連絡や内定が早くても、仕事内容が自分に合うかは別に判断します。好機を活かすには、選べることの利点と、次のような判断上の落とし穴を一緒に知っておく必要があります。
売り手市場のデメリットは?選択肢の多さや早い内定に流されない


求人が多いこと自体が不利益なのではありません。候補が増えて比較の軸を失うことや、内定が早く出た安心感で確認を省くことが、納得できない転職につながる可能性があります。
売り手市場なら必ず起こるという意味ではなく、追い風の中で気を付けたい判断の問題です。どの場面で起きるのかと、その防ぎ方を分けて見ていきましょう。
条件が似た候補が増えると、転職の目的を見失いやすい
求人が少なければ応募できる会社を探すことが中心になりますが、複数の候補が見つかると「どちらが自分に合うか」を決める必要が出てきます。年収や知名度だけでは、働いたときの違いまでは分かりません。
例えば「夜勤を減らしたい」と考えていた人が、年収の高い会社を見つけたとします。その募集にも夜勤があれば、収入は増えても、転職で解消したかった負担は残るかもしれません。
こうした迷いを減らすには、応募前に「満たさなければ見送る条件」と「できれば叶えたい希望」を分けます。夜勤なしが必須ならそこを先に確認し、条件を満たす会社同士で年収や仕事内容を比較します。
反対に、夜勤の回数を減らせればよい人なら、回数と勤務時間を確認してから判断できます。同じ求人でも、自分が何を変えたいかで残す・見送るの結論は変わるのです。
早い内定に安心すると、仕事内容の確認が不足しやすい
早く内定が出ると、受かった安心感や「この機会を逃したくない」という気持ちから、確認より承諾を優先してしまうことがあります。しかし選考に通ることと、入社後に希望する働き方ができることは別です。
例えば「工程管理」の募集でも、計画や改善が中心なのか、現場作業を兼ねるのかで日々の仕事は変わります。職種名だけで分かったつもりになると、入社後に想像との違いが生じる可能性があります。
募集要項や面接で不明なら、応募先企業の採用担当者、または利用中の転職エージェントの担当者に、担当業務や現場作業の割合、勤務帯を確認しましょう。条件が提示された後は、その内容と希望を照合します。
希望と合えば次へ進み、合わなければ見送る。不明点が残るなら回答や返答期限を相談する、という順序です。期限の延長が必ず認められるとは限らないため、確認したいことは早めに伝えておきましょう。







追い風は、合う仕事を選ぶために使いましょう。内定の早さより、仕事内容と譲れない条件で判断します。
売り手市場なら誰でも簡単に転職できる?人数と採用基準は別
求人が多くても、企業は「その仕事を任せられるか」を選考します。必要な人が足りないことと、どんな応募者でも採用できることは同じではありません。
例えば欠員が出た部署で、すぐ生産計画を担当する人が必要なら、その業務の経験が要件になる場合があります。人を採っても、その役割を任せられなければ欠員の問題が解決しないためです。
- すぐ担当してほしい募集:必要な業務経験や専門技能を、入社時点で持つ人を探す。
- 補助から始める募集:入社後に教える範囲がある。その代わりに、基本的な技能や学ぶ姿勢などを選考する。
- 経験を別の仕事へ活かす募集:同じ職種の経験だけでなく、担当してきた業務との接点が評価される場合がある。
これは役割の違いを理解するための整理です。実際にどこまで教えるか、何を必須とするかは募集ごとに異なります。採用判断が早い場合も、こうした基準まで消えるわけではありません。
反対に「今は全社が即戦力しか採らない」と決め付ける根拠もありません。dodaには職種未経験歓迎の求人もあります。経験者向けと育成を前提とする募集を分け、必須条件を読むと判断しやすくなります。
売り手市場は、自分に合う募集を探し、選択肢を広げる追い風です。求人の多さだけで受かると考えず、任される役割と自分の経験が重なるかを見ていきましょう。
売り手市場を、自分の転職判断にどう活かす?


市場の追い風を使えるかは、希望する職種・地域と、自分の経験に合う募集があるかで変わります。応募できる求人を見てから、転職で変えたい条件と照らしましょう。
職種・地域・人気企業への応募集中で、有利さは変わる


同じdodaでも、2026年9月の職種別の値には大きな差があります。全体の2.89倍だけでは、職種ごとの求人と転職希望者のバランスまでは分かりません。
| dodaの職種区分(2026年9月) | 転職求人倍率 |
|---|---|
| エンジニア(IT・通信) | 12.04倍 |
| 事務・ アシスタント | 0.66倍 |
ただし、転職希望者の職種は、希望先ではなく「直近の仕事」で分類されています。IT12.04倍は未経験者の入りやすさ、事務0.66倍は事務へ応募する人の競争率を表す数字ではありません。
全体平均の内側でも、求人と転職希望者の人数のバランスは異なります。dodaの職種別・地域別データでは、自分に関係する分野の推移を追えます。
勤務地も別の条件です。例えば転居できず大阪で探す人に、首都圏の募集が多くても同じ数の選択肢が増えるわけではありません。全国値に加えて、通える地域の募集を見る意味があります。
また、人気の大手企業などに応募が集まれば、求人が多い市場でも選考は競争になります。企業規模だけで有利・不利を決めず、同じ仕事を募集する会社の範囲を広げると、別の選択肢も見つけられます。
20代・未経験なら、育成を前提とする募集かを確かめる
ここまでの倍率は20代だけの数字ではありません。経験を評価する募集と、入社後の育成を前提にする募集を分けると、自分が使える機会を探しやすくなります。
- 経験を活かす募集:これまで担当した仕事や使った技能が、求人の必須条件や期待する役割とつながるか。
- 未経験歓迎の範囲:業界だけが未経験でよいのか、別職種からの応募も対象か。
- 育成の条件:研修で何を学べるか、入社後にどこまで任されるか、必要な資格・基本技能は何か。
経験職では、担当した業務と募集される役割を照合する
例えば工程管理の経験がある人なら、これまで何を計画・調整していたかを、募集される業務と比べます。単に「製造業にいた」だけでなく、担当した仕事に接点があるかを見ることで、経験を活かせる候補を探せます。製造業の技術経験を生かして探すなら、メーカーズジョブの支援内容と向いている人も参考になります。
営業から事務なら、使える経験と新しく学ぶことを分ける
営業から事務へ変わりたい人は、「業界未経験歓迎」だけで判断しないようにします。業界経験は不問でも、事務の実務経験が必須なら別職種からの応募対象とは限らないためです。
架空の事務求人に「職種未経験可、受注情報の入力・納期連絡を担当。表計算の基本操作は必須、専用システムは入社後研修」と書かれていたとします。
営業で受注内容を記録し、顧客と社内の納期を調整してきた人なら、その作業は募集業務との接点として説明できます。専用システムは新しく学ぶ範囲ですが、表計算の基本操作は入社時点の要件として分けて確認します。
必須の操作がまだできないなら、習得してから応募するか、基礎から教える募集を探すという選択になります。研修で補えるか不明なら担当者に確認し、「未経験可」の一言から条件を満たすと決め付けないようにしましょう。事務職への転職を考える人は、未経験・経験者別の事務職向け転職エージェントから、経歴に合う相談先を比較できます。


不通過のときは、市場全体ではなく応募先との接点を見直す
売り手市場でも不採用は起こります。不通過だけで市場が嘘とも、自分の能力が低いとも決め付けず、応募先が求める経験との接点を見直すことが大切です。
必須経験が合わないなら、応募する募集の範囲を見直します。経験は合うのに書類で説明できていないなら、担当業務と自分がしてきた作業を具体的に書けているかを見直します。実際の落選理由を断定するものではなく、次に直す場所を分ける考え方です。







使える経験と、入社後に学ぶことは分けて考えましょう。「未経験可」でも必須条件は残ります。
求人の多さより、自分が変えたい条件と合うかを見る
売り手市場の利点を使うには、求人の多さを喜ぶだけでなく、自分が変えたいことと募集内容を比べる必要があります。確認するのは、次の3点です。
- 仕事内容と応募条件:担当業務をイメージでき、必須の経験・資格と接点があるか。
- 譲れない条件:勤務地・転勤・給与の内訳・勤務時間など、転職で改善したい点が合うか。
- 募集の背景と育成:事業拡大の増員か欠員補充か、入社後の役割や研修の説明があるか。
例えば「転居せず、夜勤のない仕事へ移りたい」人が、次の3つの架空の募集を見つけたとします。転居しない・夜勤なしを必須条件にするなら、年収の順だけでは選びません。
- A社・年収は高いが転勤あり:転居を伴う転勤が必須なら、今回の条件に合わないため除く。
- B社・年収は現職並み、勤務地限定・日勤:働き方を変える目的には合う。仕事内容や応募要件も合えば候補に残す。
- C社・勤務地限定だが勤務帯不明:夜勤がないと決め付けず、企業の採用担当者か利用中のエージェント担当者に確認する。回答までは判断を保留する。
C社の回答が「日勤のみ」なら候補へ戻し、「夜勤が必須」なら見送る、という判断になります。相談しても情報が得られないときは、不明な条件を希望どおりと仮定して承諾しないことが大切です。
年収を上げたい人も、上限額だけでなく自分が対象となる条件や給与の内訳まで比べます。条件が合う候補がないなら、変えられる希望だけ広げる、今は現職に残るなど、転職以外の判断もできます。
人手不足だから良い職場とも、欠員補充だから悪い職場とも限りません。説明が足りない点は応募先企業の採用担当者や、利用中の転職エージェントの担当者に確認し、仕事や働き方が合うかを確かめましょう。
市場の追い風は、転職を即決する理由ではなく、今より合う選択肢を探す機会です。求人を見たうえで、今は現職に残ると判断してもかまいません。







条件が分からない求人は、希望どおりと決め付けず確認まで保留しましょう。現職に残るのも選択肢です。
まとめ|ハローワークの数字だけで、転職市場を決め付けない
正社員有効求人倍率1.00倍は、ハローワークの対象範囲と分母の条件がある数字です。これだけで、今は売り手市場ではないと言い切ることはできません。
dodaの約2.9倍と求人増、企業側の不足感を合わせると、求職者に追い風となる採用需要は見えます。応募先や条件を比較する機会はありますが、全国の転職市場が約3倍という意味ではありません。
一つの数字で転職を諦めず、高倍率で過度に楽観もせず、自分が希望する仕事にどんな募集があるかを見てみましょう。職種・地域・必要経験と、譲れない働く条件が合うかまで見れば、追い風を自分の選択肢につなげられます。
まずは、希望する職種と勤務地で募集を見てみましょう。dodaの求人検索では、仕事内容や応募条件を読んで候補を探せます。








