リモートワークのメリット・デメリット|20代が自分に合うか判断するには
毎朝の通勤がなくなれば、睡眠や自分の時間を増やせそう。でも、家で一人で働いても仕事を覚えられるのか、生活との区切りをつけられるのか。リモートワークに魅力を感じても、実際の一日を想像できず迷うことがあります。
リモートワークの大きなメリットは、通勤に使っていた時間と体力を生活へ戻せることです。 ただし、相談のしやすさや自宅環境によっては、別の負担が増える場合もあります。
この記事では、主なメリット・デメリットを日常の場面と対策から考えます。「自分の生活で何が楽になり、何に困るか」が分かれば、フルリモート・ハイブリッド・出社の第一候補と、選ぶために必要な条件を言えるようになります。良い面だけで決める後悔や、漠然とした不安で選択肢を狭める迷いを減らしましょう。
ここでは、自宅で行える業務のある会社員を対象にします。現場設備の使用や対面接客が欠かせない仕事では、すべての業務を在宅で行うのは難しいでしょう。
- 最大のメリットは、通勤の時間と疲労を減らせること。睡眠や生活に余裕が戻るなら、週数日の在宅にも価値があります。
- 重要なデメリットは、相談・学習の機会と仕事の区切りを失いやすいこと。運動不足や、自宅の費用・作業環境も負担になります。
- 対策は、質問相手や通話の機会、終業の習慣などを具体的にすること。教育や夜間連絡の問題は、会社の支援・運用も変わらなければ解消しません。
- 遠隔の支援と自宅環境が整うならフルリモート、対面も必要ならハイブリッド、職場の支援・設備を優先するなら出社が候補です。条件が分からなければ判断を保留できます。
リモートワークのメリット|生活と仕事はどう変わるか

通勤を減らしたい人と、静かな場所で作業したい人では、在宅勤務で重視する利点も変わります。主な利点を自分の一日と照らし合わせると、どの負担が軽くなり、週に何日在宅できれば十分かが見えてきます。
- 時間と体力:通勤や身支度、雨・猛暑の中を移動する負担を減らせる
- 仕事の環境:周囲の会話や視線、急な声かけから距離を取りやすい
- 家族や自分の時間:仕事の前後に、家事・育児・勉強・休息の時間を取りやすい
- 日々の出費:外で買っていた昼食や飲み物の支出を減らせる場合がある
- 住む場所:フルリモートで出社義務や居住地の制限がなければ、職場までの距離だけで選ばずに済む。ハイブリッドでは出社日に通えることが前提
メリット・デメリットの図は、テレリモ総研の2026年調査をもとにしています。現在出社している人も含む経験者1,005名への複数回答の調査で、割合が示すのは各項目を選んだ人の多さです。そのため、効果の大きさや自分の優先順位とは分けて考えましょう。なお、図にある体調面の回答は、休養が必要な日にも働くことを勧めるものではありません。
通勤で失っていた時間を、休息や生活に使える
同じ調査では、通勤時間の有効活用が71.0%、通勤の疲労・ストレスがないことが67.5%でした。時間が浮くだけでなく、通勤で疲れずに済むことで、仕事のあとに家事や勉強へ取りかかる余力も残しやすくなります。
週2日を在宅にする場合、片道10分なら週40分、片道60分なら週4時間の移動がなくなります。ただ、浮いた時間で睡眠を延ばしたい人と、子どもの送迎に間に合わせたい人では、その時間の価値も変わってきます。
浮いた時間の使い道を、今できずにいることから考えてみましょう。
- 朝がつらいなら、起床を遅らせて睡眠時間を確保する
- 帰宅後は疲れて何もできないなら、休息や短い勉強の時間に使う
- 家族の予定に追われているなら、終業後すぐに家事や送迎へ移れる余裕を作る
育児や介護との両立は、勤務前後の時間が戻ることが中心です。勤務中も常に対応が必要なら、在宅勤務だけで両立させようとせず、ケアの分担や休暇・勤務時間を調整しましょう。
毎日ではなく、週2日の朝に余裕ができれば十分という人もいます。在宅日数は、なくしたい負担と取り戻したい時間から考えましょう。
通勤が短くても、職場での声かけや周囲への気遣いが負担なら、在宅で一人になれる時間に価値があります。
集中したい作業に合わせて、周囲との距離を取れる
資料の文章を考えている途中で話しかけられる、周りの会話が気になって読み直しが増える。在宅でそうした中断が減れば、一人で考える作業を進めやすくなります。
マイナビの自社調査には、対人ストレスが減るという声と、やり取りが難しくなるという声の両方があります。集中できる時間を確保しつつ、相談が必要なときには相手と話せることが大切です。
- 一人で書く・計算する作業が多い:静かな在宅時間をまとめて確保する価値がある
- 相談しながら方針を決める作業が多い:相手と話せる時間を残す必要がある
- 会議や即時返信で中断している:場所より先に、会議・連絡のルールが改善できるかが大切
たとえば資料を作る日は在宅、先輩と内容を詰める日は出社という組み合わせでも、集中の利点を得られます。自宅のほうが生活音や家事で気が散るなら、職場の静かな席のほうが作業しやすい場合もあります。
集中しやすいのは「家だから」ではなく、その作業に必要な環境を作れるからです。 なお、勤務場所を選べることと、好きな時刻に働けることは別です。始業・終業や休憩は、会社の制度に従いましょう。
昼食代など、出社に伴う小さな出費を減らせる
同じテレリモ総研の調査では、昼食代などの出費を抑えられるという回答も30.9%ありました。節約できる金額は、もともと出社日に何を買っていたかで変わります。
毎日外で昼食と飲み物を買う人なら、在宅の日に自炊や作り置きを使うことで支出を減らせます。一方、すでに弁当や水筒を持参している人は、在宅にしても支出の差は小さくなります。
生活費への影響を考えるときは、昼食代などの支出と、通勤手当の扱いを分けましょう。
- 減らせる支出:出社日に自分で払う昼食・飲み物・寄り道の買い物
- 支給額と支出を一緒に見るもの:通勤手当と、実際に払う通勤費
会社によっては、出社日数が減ると定期代の支給から実費支給へ切り替わり、通勤手当が減ることがあります。給与明細の支給額が下がっても、実際に払う通勤費も減るなら、その金額がそのまま家計の負担増になるわけではありません。(参考:富士通の制度変更例・2020年)
週数日の在宅でも昼食代などは減らせますが、家計全体への影響は手当の増減と実際の支出で変わります。在宅勤務手当の有無と、光熱費・通信費・自宅設備費の自己負担も含めて判断しましょう。
リモートワークのデメリットと対策

通勤がなくなっても、仕事が進まない、休めないという負担が増えては続けにくくなります。次の4つの負担について、日々の工夫で軽くできることと、会社の支援が必要なことを分けて考えましょう。
- 相談・学習:質問で作業が止まりやすく、進捗や成長も周囲に伝わりにくい
- 仕事の区切り:家でも仕事が目に入り、終業後まで続けてしまう
- 運動・孤独:歩く機会や、誰かと自然に話す機会が減る
- 費用・作業環境:光熱費などが増え、静かな作業場所も必要になる
質問しにくく、仕事の覚え方や進め方でつまずく
新卒や未経験の仕事では、「何を聞けばいいか」から分からないことがあります。資料の数字が合わないときや、顧客へどこまで回答してよいか迷うとき、チャットで状況を説明して返事を待つだけでは、作業が止まりがちです。

私も29歳で医薬品製造へ未経験転職した直後は、器具の名前も使い方も分からず、先輩に実際の扱い方を教わりました。これは製造現場の経験ですが、説明を読むだけでは理解できないことがありました。
仕事に慣れた人なら、毎日の実演より、迷ったときの相談と判断への助言があれば進められる場合もあります。今どれだけ教わる必要があるかによって、必要な支援の量と方法は変わります。
また、成果物だけでは、途中でつまずいていることや、一人でできるようになったことが上司に伝わらない場合があります。
リモートでも助言を受けながら仕事を覚えていけるよう、次のようなやり取りが職場でできるか確認してみましょう。
- 質問相手や教育担当を決め、急ぐときは短い通話へ切り替える
- 操作や手順を文章で理解できなければ、画面共有・実演・作業動画で教わる
- 提出物に具体的なコメントをもらい、直す点と次に取り組む課題を決める
- 進捗・困っている点・一人でできるようになったことを共有し、上司と優先順位を相談する
- 会議の決定事項や変更理由を記録し、その場にいなかった人にも共有する
評価については、厚生労働省も、求められる仕事の水準と達成状況を上司と共有する機会を勧めています。評価や昇進は会社の制度、役割、成果、仕事の難易度などにも左右されるため、勤務場所や仕事量だけで有利・不利を決めつけないことが大切です。
質問しても返事がなく、教える担当も決まっていないなら、フルリモートを急がないほうがよいでしょう。対面の実演が必要な人は、教わる相手と同じ日に出社できるかも確かめましょう。
仕事と私生活の区切りがつきにくい
夕食後もPCが目に入り、少しだけのつもりで作業を続けてしまう。職場から帰る区切りがないため、通勤で浮いた時間を仕事に使い切ることもあります。
仕事を終える時刻に、次のような動作を一つ決めておくと、生活へ戻る区切りになります。
- 明日最初にすることをメモし、PCを閉じる
- 別室がなければ、仕事道具を箱や棚へ片づける
- 終業後の連絡ルールに沿って通知を切り、散歩や夕食へ移る
ただし、会社が夜間も返信を求める、勤務時間内に終わらない量の仕事を任せる場合は、片づける習慣だけでは解決しません。返信が必要な時間帯や仕事量を上司と話し合いましょう。
仕事を終えにくい原因によって、生活の習慣を整えるのか、会社の連絡ルールや仕事量を見直すのかが変わります。 在宅の日だけ切り替えに苦労するなら出社との併用も候補ですが、会社が夜間も返信を求めるなら、出社に変えても夜に仕事から離れられません。
歩く機会や会話が減り、家にこもりやすい
駅まで歩く、昼食を買いに出る、隣の人と短く話す。在宅では、こうした自然な外出や会話の機会が減ります。一人で作業するのが好きでも、終日誰とも話さない生活が合うとは限りません。
なくなった機会に合わせて、無理なく続けられる予定を選びましょう。
- 移動が減った:昼休みや仕事の前後に散歩を入れる
- 私生活の会話が減った:友人や家族と話す予定を残す
- 職場で孤立している:短い通話や定期的な面談で、相談や雑談の機会を作る
友人と話すことは気分転換になりますが、仕事の輪から外れている不安まで解消するとは限りません。チームの動きが分からない、話し合いに参加する機会が少ないなら、情報共有や話し合いへの参加を職場に求めましょう。
外出や会話を補っても孤独感が続くなら、人と会える頻度も勤務形態を選ぶ材料です。出社できる人は対面の日を増やす方法があり、通勤が難しい人には、遠隔でもチームと関われる職場の運用が欠かせません。
光熱費や設備の負担が増え、作業場所にも制約がある
在宅の日が増えると、冷暖房の使用や通信環境の整備に費用がかかります。昼食代が減っても、机や椅子を自費で用意するなら、始める月の購入費も見込んでおきましょう。
厚生労働省の解説では、機器の貸与や費用負担は事前にルールを明確にすることが示されています。自己負担を見積もるときは、最初に必要な費用と毎月増える費用を分けると、続けられるかを考えやすくなります。
- 最初の費用:会社から借りられるPC・周辺機器と、自分で買う机・椅子などを分ける
- 毎月の費用:光熱費・通信費の増加と、会社から支給される在宅手当を比べる
- 作業場所:生活音、会議内容の聞こえ方、通信の安定性、仕事道具を置くスペースを確保する
会社の設備貸与や手当は費用の助けになりますが、同居家族の生活音や作業スペースの不足は、それだけでは解消しません。
自宅を整える出費や手間が大きいときは、出社や、会社が認める近隣の作業場所も候補です。設備を買う前に、情報管理のルールに沿って無理なく使える場所があるかを確かめましょう。
フルリモート・ハイブリッド・出社のどれが自分に合うか

得たいメリットと、続けるために必要な条件が両方そろうかで、今の第一候補を考えましょう。
| 働き方 | 第一候補にしやすい希望 | 選ぶための条件 |
|---|---|---|
| フルリモート(全日在宅) | 通勤をなくし、自宅で集中する時間を多く持ちたい | 遠隔で相談・学習ができ、作業場所と生活の区切りを作れる |
| ハイブリッド(在宅+出社) | 通勤を減らしながら、対面の相談や人との接点も残したい | 通勤が可能で、相談相手と出社日を合わせられる |
| 出社 | 家より職場の設備や、対面で教わる機会を優先したい | 通勤の負担を受け入れられ、職場に必要な設備・支援がある |
支援の方法、実際に使える在宅日数、費用負担などが不明なら、今は判断保留で構いません。通勤できない事情がある人は、研修や行事も含めて出社が必要かを会社へ確かめましょう。「自分に向いていない」と「選ぶための情報が足りない」は別です。
たとえば「第一候補はハイブリッド。ただし、先輩と同じ日に出社して教われることが条件」、または「フルリモートを希望するが、遠隔の研修方法が分からないため保留」と言えれば、出社日や研修方法について、次に何を会社へ確認すればよいかがはっきりします。
まとめ|リモートワークで変わる自分の一日から考えよう
リモートワークの価値は、メリットの数より、生活がどれだけ楽になり、無理なく仕事を続けられるかで決まります。
- 通勤・集中・日々の出費のうち、自分にとって大きい利点を選ぶ
- 相談、仕事の区切り、運動・会話、自宅環境に必要な対策を考える
- 対策を実行できる条件から、勤務形態の第一候補か保留理由を決める
通勤の負担が大きく、遠隔で相談・学習でき、自宅環境も整うなら、フルリモートを候補にしてみましょう。対面の支援も残したければハイブリッドで通勤を減らせますし、職場の設備や直接教わる機会を優先して出社を選んでも構いません。
まずは「在宅で楽にしたいこと」と「選ぶ前に知りたいこと」を一つずつ書いてみましょう。今の会社で在宅勤務を試せるなら、その不明点を上司へ相談するところから始められます。
