厚労省が2025年転職者実態調査を公表|20代の転職先選びについて分かったこと
「給料は上げたい。でも、仕事内容や休みも妥協したくない」。転職先を比べていると、何を優先すればよいか迷うことがあります。同じ20代が会社を選んだ理由も、気になるところです。
厚生労働省は2026年9月25日、「令和7(2025)年転職者実態調査」を公表しました。20代前半・後半とも、仕事内容・職種への満足を理由に挙げた人は4割を超えています。
年代によって差があったのは、経験の活用や待遇です。20代後半では前半より、キャリアアップ・技能の活用・賃金を理由に挙げた割合が高くなっていました。
仕事を経験して自分の得意なことが分かり、次は成長や収入を求めた人もいるのかもしれません。この記事では年代別の数字と考えられる背景を解説し、自分の希望を応募先で確かめる質問につなげます。
9月25日に公表された「転職者実態調査」とは

転職者実態調査は、転職した人と、転職者を受け入れた事業所を対象にした国の調査です。前回の2020年調査に続き、今回は2025年の状況が公表されました。
数字を読む前に確かめたいのが、調査の時期と対象です。一定の条件を満たす転職者の回答であり、すべての求職者の意見ではありません。
2026年の発表でも、調査したのは2025年
| 確認する時期 | 今回の調査 |
|---|---|
| 公表日 | 2026年9月25日 |
| 調査時点 | 2025年10月1日 |
| 個人調査の実施期間 | 2025年10月17日〜12月19日 |
公表されたのは2026年9月ですが、調査したのは2025年です。個人調査では2025年10月1日時点の状況などを尋ねているため、現在の求人の多さを示す数字ではありません。
対象は、一定の条件を満たすフルタイムの転職者
調査の対象は、指定された16産業のうち、常用労働者が5人以上いる全国の事業所です。そこで働く転職者の中から、次の条件を満たす人に回答を求めています。
- 2024年10月1日〜2025年9月30日に、現在の事業所へ入った人
- 現在の雇用契約に期間の定めがない、または契約期間が1年以上で、短時間労働者ではない人
- 現在の事業所で働き始める前の1年間に、他の企業で働いた経験がある人
移籍出向も含まれますが、学生アルバイトなどだけの就業経験は除かれます。また、雇用期間などの条件を満たせば正社員以外も対象です。
個人調査の有効回答率は52.3%でした。この記事で紹介する「転職先を選んだ理由」は、転職した本人の回答を集計したものです。
| 調査の対象 | 対象数 | 有効回答 |
|---|---|---|
| 転職した本人 | 13,975人 | 7,310人 |
| 事業所 | 17,354事業所 | 9,154事業所 |
短時間勤務の人や、初めて就職する人は対象に含まれません。詳しい条件は、厚生労働省の調査概要で確認できます。
転職先を選んだ理由は?全体と20代の内訳

転職先を選んだ理由は、一人につき3つまで回答できます。仕事内容と賃金の両方を選ぶこともできるため、合計は100%になりません。
全年齢では仕事内容・職種への満足が40.2%
全年齢で最も多かった理由は「仕事の内容・職種に満足がいくから」で40.2%でした。次いで「自分の技能・能力が活かせるから」が38.4%、「労働条件(賃金以外)がよいから」が23.1%です。
技能・能力の活用を挙げた割合は、20代前半では23.3%、後半では29.5%でした。全年齢の38.4%とは差があるので、20代の会社選びを考えるときは年齢別の数字も見ておきましょう。
20代前半・後半では、どこに違いがあるか
全体で多かった3項目に、賃金とキャリアアップを加えて比較しました。以下の5項目は、20代の回答が多い順に並べたものではありません。
| 選択理由(要約) | 20〜24歳 | 25〜29歳 |
|---|---|---|
| 仕事内容・職種への満足 | 42.6% | 42.7% |
| 技能・能力を活かせる | 23.3% | 29.5% |
| 賃金以外の労働条件がよい | 34.3% | 30.7% |
| 賃金が高い | 22.2% | 26.3% |
| キャリアアップできる | 20.5% | 31.2% |
出典:厚生労働省「令和7年転職者実態調査・表13-1」。割合は各年齢層の転職者全体を100として計算されています。有効回答7,310人は全年齢の合計です。
20代後半では、経験・成長・賃金を挙げる割合が高い
比較した5項目のうち、年代差が最も大きかったのはキャリアアップです。技能の活用と賃金も、20代後半のほうが高い割合でした。
- キャリアアップ:20.5% → 31.2%。後半が10.7ポイント高い
- 技能・能力の活用:23.3% → 29.5%。後半が6.2ポイント高い
- 賃金の高さ:22.2% → 26.3%。後半が4.1ポイント高い
仕事内容・職種への満足は42.6%と42.7%で、差は0.1ポイントです。仕事内容を挙げる割合はほぼ同じでも、20代後半では経験・成長・賃金を挙げる割合が高いことが分かります。
賃金以外の労働条件は、20代後半が3.6ポイント低いものの、30.7%が挙げています。20代後半でも、働きやすさは会社を選ぶ理由の一つです。
20代前半の経験で、適職が見えてきた可能性
仕事を経験するうちに得意なことが分かり、次はその強みを活かせる役割や待遇を求めた人もいるのかもしれません。たとえば、接客で「相談を聞いて提案する仕事が合う」と気づいた人なら、次のように考えられます。
- 続けたい仕事:相手の相談を聞き、提案する
- 次に挑戦したいこと:自分で提案できる範囲を広げる
- 会社に聞きたいこと:提案の成果をどう評価し、給与に反映するか
この例は、年代別の結果から考えた仮説です。調査では適職を見つけたかまでは聞いておらず、経験が年代差の原因だと確かめられたわけではありません。
今回の数字で分かること・分からないこと

今回の表で分かるのは、転職先を選んだ理由です。選び方の正解や、今の採用状況を示したものではありません。次の点は、表の数字だけでは判断できません。
- 仕事内容を理由に選んだ人が、その後も満足して働けたか
- 同じ人が20代前半から後半になる間に、選ぶ理由をどう変えたか
- いま応募すれば採用されやすいか、自分の希望条件の求人があるか
たとえば、20〜24歳の42.6%は「仕事内容・職種に満足がいくから」を選んだ人の割合です。42.6%の人が転職に成功した、という意味ではありません。
同年代に多い理由でも、自分に合うとは限りません。調査結果は、今すぐ転職すべきかを決める答えではなく、自分が求める条件を考える参考にしてください。
調査結果を、自分の転職先選びに活かすには

自分に合う仕事を探しているなら、入社後の日々の業務を確かめたいところです。続けたい仕事が決まっているなら、経験を活かせる役割や評価の仕組みにも目を向けてみましょう。
希望がかなうか、応募先に具体的に聞く
求人票に「経験を活かせる」とあっても、実際の担当業務が分からなければ判断できません。希望する働き方に近づけるか、採用担当者や配属予定部署に具体的に聞いてみてください。
- 仕事内容:「入社後3か月は、どの業務をどのくらい担当しますか」
- 経験の活用:「これまでの○○の経験は、配属先のどの仕事で使えますか」
- キャリアアップ:「入社後に担当範囲を広げるには、どんな実績やスキルが必要ですか」
- 給与:「提示年収の基本給・手当・賞与の内訳と、昇給の評価基準を教えてください」
- 働き方:「配属予定部署の通常月と繁忙期の残業は、それぞれ月何時間ほどですか」
回答を聞いたら、自分が続けたい仕事や挑戦したい仕事と比べてみましょう。採用担当者だけでは分からない内容は、配属予定部署にも確認してもらうと安心です。
応募先が決まっていない場合は、今の仕事で変えたいことから考えられます。残業を減らしたいなら、希望の帰宅時間を書き出すと、次の会社の勤務時間や残業を比べやすくなります。
給与や休日など、譲れない条件も大切にする
仕事内容が魅力的でも、給与が生活費に足りなければ働き続けるのは難しくなります。休日や勤務地にも譲れない事情があるなら、会社選びの条件に入れておきましょう。
同年代の回答に合わせて、自分の優先順位を変える必要はありません。仕事内容・給与・働き方のうち、何を変えたいのかを決めると、応募先で確かめることもはっきりします。
比較する項目を整理したいときは、転職先で失敗しない選び方チェックリストも参考にしてください。求人票で見る条件と、面接で聞く内容をまとめています。
まとめ|調査結果を、応募先に聞くことへつなげる
20代前半・後半とも、仕事内容を理由に挙げた人は約43%でした。一方、キャリアアップ・技能の活用・賃金を挙げた割合は、20代後半のほうが高い結果です。
会社選びに活かすために、まずは「続けたい仕事」と「次の職場で変えたいこと」を一つずつ書き出してみてください。応募先でその希望がかなうかを聞けば、自分の条件で会社を比べられます。
詳しい結果は、厚生労働省の令和7年転職者実態調査の概況と報道発表資料をご覧ください。
