社会保険給付金サポートは必要?平均29万円の費用と自分で申請する方法
「退職したら最大400万円もらえます」という広告をSNSで見たことはありませんか。
こうした広告の先にあるのが、社会保険給付金サポートと呼ばれる民間のサービスです。退職後にもらえる公的なお金(働けないあいだ健康保険から出る傷病手当金と、雇用保険の失業給付)の申請を有料で手伝うとうたい、契約すると数十万円かかります。
それで400万円もらえるのなら手元に多額のお金が残りますが、そんな美味しい話はありません。
2025年12月には国民生活センターも注意喚起を出しました。同じ悩みの相談は2021年度の42件から2024年度は217件へ増えています。相談に持ち込まれた契約費用の平均は約29万円で、失業保険を90日受け取る人なら受給額の半分以上にあたる額です。
退職後の無収入期間に先払いする額としては、決して小さくありません。読み終えるころには、契約書にサインすべきかどうかと、断ったあと自分で何から動けばいいかが分かります。結論から言うと、有料のサポートは原則いりません。申請の窓口はすべて無料で、資格のない業者にできるのは助言と指導だけだからです。
- 有料のサポートは原則いらない。資格のない業者は書類の作成も提出もできず、公的な窓口はすべて無料
- サポート費用の平均29万円は、失業給付を90日受け取る人なら受給額の5〜6割が消える計算になる
- 「最大28か月・400万円」は2つの制度を順番に受け取った上限の足し算で、同時にもらえる額ではない
- 断ったあと自分でやるのは2つだけ。傷病手当金の申請書は会社に書いてもらうのが4ページ中1ページで、働けない間は失業保険の受給期間の延長を出しておく
社会保険給付金サポートとは、どんなサービスか

「調べるのも面倒だし、詳しい人に任せたほうが早いのかな」。心身が削られている時期に長い手続きの説明を読むのは、それだけで気力を使います。
その気持ちに向けて声がかかるのが、社会保険給付金サポートです。数十万円を払う前に、それが何を売っているサービスなのかだけは押さえておいてください。
すでに契約して支払いまで済ませている場合は、もう契約してしまった人がまずやることを先に読んでください。ここから先は、まだ契約していない人に向けて書いています。
売っているのは、2つの給付の申請の助言
社会保険給付金サポートは、退職後に受け取れる公的なお金の申請を有料で手伝うとうたう、民間のサービスです。「退職給付金サポート」「失業保険の申請サポート」など、呼び方は事業者によって変わります。
扱うのは、健康保険の傷病手当金と雇用保険の失業給付の2つです。国民生活センターが出した注意喚起の題名は「失業保険の給付額等を増やすことができるとうたう申請サポートに注意」です。売り文句の中心は、この2つを増やせる・長くもらえるという点にあります。
出会い方にも決まった形があります。国民生活センターが示した典型的な流れは、次の3ステップです。
- インターネットやSNSの広告で、申請サポートをうたう事業者を見つけて自分から登録する
- WEB会議などで説明を受ける
- 契約して費用を払う
声がかかりやすいのは、心身の不調を抱えて退職を考えている人です。傷病手当金は病気やけがで働けないときのお金なので、そこを入り口にした勧誘が中心になります。
そしてこの事業を始めるのに、資格は要りません。社会保険労務士(社労士)の資格を持たない運営もあります。だからこそ、あなたが払おうとしているのは手続きの代行料ではなく、「何を、いつ、どこに出すか」という助言への料金になります。その料金が何に対するものかは、契約書を見ても書いていないことがあります。
「退職給付金」という制度は存在しない
広告でよく見る「退職給付金」は、制度の名前ではありません。国民生活センターも、失業保険や失業手当、失業給付などを指す俗称として使われている言葉だと説明しています。
この記事で扱う公的な制度は2つです。健康保険の傷病手当金(病気やけがで働けない間の生活費)と、雇用保険の失業給付(失業中の生活費。正式には基本手当)。どちらも窓口での相談は無料で、申請書の様式も無料で手に入ります。
その無料の制度を、業者は「最大28か月・400万円」という数字で売り込んできます。
「最大28か月・400万円」はどう作られた数字か

広告に出てくる「最大28か月」「総額400万円」は、でたらめな数字ではありません。ただし28か月も400万円も、2つの制度を順番に受け取った場合の上限を足しただけの数字です。
28か月は「足し算」であって「同時」ではない
内訳はこうなっています。
| 制度 | 最長 | 月に直すと |
|---|---|---|
| 傷病手当金(健康保険) | 通算1年6か月 | 約18か月 |
| 失業給付(雇用保険・障害などで就職が難しい就職困難者と認められた場合) | 300日 | 約10か月 |
| 合計 | 約28か月 |
金額のほうも足し算です。月給26万円の20代で計算すると、こうなります。
| 制度 | 1か月あたりの目安 | 上限まで受けた場合 |
|---|---|---|
| 傷病手当金 | 約17万3,000円 | 18か月で約312万円 |
| 失業給付(就職困難者300日) | 日額約5,900円 | 300日で約177万円 |
| 合計 | 約489万円 |
広告が出す「400万円」も、この積み上げ方で作られた数字です。前提に置く月給が違えば合計も動くので、300万円台にも500万円近くにもなります。ただし、いくらの数字であれ、傷病手当金も失業給付も上限まで受け取れる人だけが届く金額です。
この28か月は、2つを同時にもらえる期間ではありません。傷病手当金と失業給付は同じ時期には受け取れないので、傷病手当金が終わってから失業給付へ移る形になります。
300日の条件と傷病手当金の条件は、同じ日には両立しない
失業給付が300日になるのは、ハローワークに就職困難者と認められた場合です。就職困難者には身体障害者や知的障害者も含まれますが、うつ病が関わるのは精神障害者の枠になります。
その精神障害者には、次のような定めがあります。
- 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている
- または統合失調症、そううつ病(そう病・うつ病を含む)、てんかんにかかっている
- そのうえで、症状が安定し、就労が可能な状態にある
一方の傷病手当金は、仕事に就くことができないことが支給の条件です。「働ける状態」と「働けない状態」なので、同じ日に両方を満たすことはできません。
「うつ病の診断さえもらえば自動で300日」という説明には無理があります。就職困難者にあたるかを決めるのはハローワークで、業者でも医師でもありません。
名前が似ている言葉を取り違えない
とくにまぎらわしいのが、「傷病手当金」と「傷病手当」です。1字違いで、別の制度になります。
| 名前 | どこから出るか | どんなときに出るか |
|---|---|---|
| 傷病手当金 | 健康保険 | 業務外の病気やけがで働けないときの生活保障。最長で通算1年6か月 |
| 傷病手当 | 雇用保険 | 求職の申し込み後に病気やけがで15日以上働けなくなったとき、基本手当の代わりに出る。傷病手当金と重ねては受けられない |
もう1つ、離職理由の話も混ざりがちです。心身の不調など正当な理由がある自己都合退職は、「特定理由離職者」(会社都合とまでは言えないが、辞めざるを得ない事情があった人)として扱われることがあります。特定理由離職者かどうかは受給資格や、待期のあとにお金が出ない期間(給付制限)に関わる話で、もらえる日数(所定給付日数)に関わる「就職困難者」とは別の区分です。
お金が1円も入らない月がある
総額だけを見ていると、入金のない期間を見落とします。とくに失業保険の受給期間の延長は、もらえる期間を先へ延ばす手続きであって、それ自体でお金が入るわけではありません。
| 時期 | 入ってくるお金 |
|---|---|
| 退職後、傷病手当金の書類がそろうまで | なし |
| 傷病手当金を受けている間 | 申請するたびに入る |
| 働ける状態になるまでの待ちの期間 | なし |
| 失業保険の受給期間を延長している間 | なし |
| 失業給付の待期7日(支給されない最初の7日間)と給付制限の間 | なし |
そのあいだも住民税、国民健康保険料、国民年金保険料、家賃や光熱費は毎月出ていきます。とくに退職の翌年に届く住民税の納付書は重い出費です。金額の目安は退職後の住民税にまとめました。

総額ではなく「何月にいくら入るか」で見ると、必要な貯金額が出ます。家賃と保険料の引き落とし日を並べれば、貯金がどこまで持つかも見えてきます。
業者にできること・できないこと


では、その数字を見せてくる業者は、実際に何をしてくれるのか。報酬を受け取って申請書を作ったり、代わりに提出したりできるのは、原則として社会保険労務士と社会保険労務士法人だけです。契約書を開く前に見るべきなのは、その業者が何をしてくれる立場なのかです。
資格のない業者ができるのは「助言と指導」だけ
業者が書類を代わりに出してくれないのには、法律上の理由があります。社会保険労務士法27条で、報酬を得て申請書を作成したり提出を代行したりできる人が限られているからです。
法律で決まっていること
- 報酬を得ての作成・提出代行は社労士と社労士法人だけ(社会保険労務士法27条)
- 弁護士と弁護士法人は法律上の例外として、同じ業務を行える
- 違反は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(同法32条の2)
国民生活センターも「資格のない事業者が行えるのは、あくまで助言及び指導に限られます」と明記しています。いくら払っても、資格のない業者があなたの代わりに書類を作って出すことはできません。
代わりに出してもらいたいなら、頼む相手は社労士か弁護士になります。家族に手伝ってもらうこともできますが、それは無料の話です。
相談は3年で5倍に増えている
その助言をめぐるトラブルが、いま増えています。国民生活センターに寄せられた「失業保険の申請サポート」の相談件数です。
| 年度 | 相談件数 |
|---|---|
| 2021年度 | 42件 |
| 2022年度 | 54件 |
| 2023年度 | 113件 |
| 2024年度 | 217件 |
| 2025年度(10月31日まで) | 216件 |
(出典:国民生活センター・2025年12月3日公表の同じ資料)
申請サポートに関する相談は、2021年度から2024年度で約5倍に増えました。2025年度はまだ年度の途中なのに216件で、同じ時期で比べると前年度の2.4倍のペースです。
実際にあった相談3件
同じ資料には、相談の中身も金額と年代つきで載っています。
| 支払った額 | 相談者 | 何が起きたか |
|---|---|---|
| 約30万円 | 40歳代・男性(2025年5月受付) | 「最大200万円の失業保険が受給できる」と言われて契約。教わったとおりに申請したが、言われたような給付金はもらえなかった |
| 約20万円 | 30歳代・女性(2025年7月受付) | 契約後に退職しないことになり解約を申し出たら、費用の大部分が違約金になると言われた。サポートはまだ1つも受けていない |
| 約20万円 | 30歳代・女性(2024年9月受付) | 指定のオンライン診療でうつ病の診断を受けるよう指示され、「うつ病と診断されるためのマニュアル」が届いた |
(出典:国民生活センターの同じ資料。2025年12月3日公表)
3件とも、支払いが先で結果は後という順番です。とくに2件目は、サポートを1つも受けていない段階で違約金を求められています。
不正受給の返還を命じられるのは、業者ではなく自分
うつ病と診断されるためのマニュアルが届いた事例のように、事実と違う内容で申請するよう促されるケースがあります。ここで「言われたとおりにしただけ」は通りません。
| 制度 | 不正受給が分かったときの扱い |
|---|---|
| 失業給付(雇用保険) | 受け取った額の返還に加え、その2倍以下の額の納付を命じられることがある(雇用保険法10条の4第1項)。合わせて最大で受給額の3倍 |
| 傷病手当金(健康保険) | 受けた給付の全部または一部を保険者が徴収できる(健康保険法58条1項) |
| 刑事責任 | 悪質な場合は詐欺罪などの対象になる |
国民生活センターの資料にも、はっきり書かれています。「知らなかった」「事業者に言われたとおりにした」では済まされません。数十万円を払った結果、返還を命じられるのはあなたです。
本当に病気やけがで働けない人が制度を使うのは、後ろめたいことでも何でもありません。問題は制度ではなく、事実と違う申請をさせようとする一部のやり方にあります。
迷ったら「その助言は無料で聞けるか」を試す
業者から受けた説明を、1つずつ次の問いにかけてみてください。「これはハローワークか、加入している健康保険の窓口で無料で聞ける話か」。
国民生活センターも、ハローワークで無料の相談や案内を受けられると案内しています。実際、ほとんどの項目が「聞ける」に入ります。
ここで問題にしているのは、資格のない業者が助言だけで数十万円を取るケースです。社労士や弁護士に正式に依頼して、書類の作成や提出まで任せる場合は、また別の話になります。








逆に「無料では聞けない助言」だけが残ったときは、その中身をハローワークか加入している健康保険で確かめられます。契約や解約でもめている話のほうは、消費者ホットライン188です。
平均29万円は、受け取る額のどれくらいを占めるか


では、その助言にいくら払うことになるのか。相談として持ち込まれた契約の金額を見ると、決して小さい額ではありません。
相談に持ち込まれた契約は、平均で約29万円
国民生活センターが2025年12月3日に公表した資料に、実際に相談へ持ち込まれた契約の金額が載っています。
| 契約金額の帯 | 件数 |
|---|---|
| 5万円未満 | 11件 |
| 5万〜10万円未満 | 1件 |
| 10万〜50万円未満 | 146件 |
| 50万円以上 | 11件 |
(出典:国民生活センター・2025年12月3日公表の同じ資料/2024年度のデータ・n=169)
同じ資料には、相談者の属性もあります。
- 平均契約購入金額:約29万円
- 20歳代以下:46件(22.2%)
- 最も多い年代:50歳代の63件(30.4%)
169件のうち146件が10万〜50万円未満に集まっていて、平均は約29万円です。相談者の中心は40〜50代ですが、20歳代以下も5人に1人を占めています。若いから声がかからない、という話ではありません。
29万円は、受け取る額のどれくらいを捨てることになるか
上限まで受け取れる人だけが届く400万円に対して、29万円のほうは契約した時点で確定します。
高卒で就職して10年以上働いた場合を除けば、20代が雇用保険に入っていた期間(被保険者期間)は、たいてい10年未満です。自己都合で辞めた場合、受け取れるのは90日分になります。その90日分と29万円を並べると、次のようになります。
| 退職前の月給 | 失業給付90日分の目安 | 29万円が占める割合 |
|---|---|---|
| 20万円 | 約45万3,000円 | 約64% |
| 25万円 | 約51万9,000円 | 約56% |
| 30万円 | 約56万7,000円 | 約51% |
(30歳未満・令和8年8月1日〜令和9年7月31日の計算式で試算。出典:厚生労働省「基本手当日額の計算式及び金額」。日額は毎年8月に改定され、実際の額はハローワークが計算します)
受け取るはずのお金の半分以上が、助言料として消える計算です。30歳未満の基本手当日額の上限は7,450円なので、上限いっぱいの人でも90日で約67万円。それでも29万円は43%を占めます。
長く療養して傷病手当金を1年以上受け取る人なら、この割合は小さくなります。しかし契約の時点では、自分がどちらになるか誰にも分かりません。それなのに見積もりは、いつも最大額のほうで示されます。
裏を返せば、業者に払わなければ45万〜57万円がまるごと手元に残ります。29万円は、時給1,121円(令和7年度の地域別最低賃金の全国加重平均)なら約259時間分です。週5日8時間で1か月半ほど余分に働いて、そのぶんをまるごと渡すのと同じ重さになります。
自分の場合に失業給付がいくらになるかは、失業給付金はいくら・いつから何日の月給別早見表で確かめられます。
28か月フルに受け取っても、働いた場合の手取りより少ない
もう1つ、そもそもの話があります。傷病手当金と失業給付を上限まで受け取ると、月給26万円の人で約489万円になります。この金額でも、同じ28か月を働いた場合には届きません。
月給26万円で28か月働くと、額面では728万円です。ここから税金と社会保険料が引かれるので、手元に残るのはおよそ8割の580万円前後になります(引かれる額は扶養や住んでいる自治体で変わります)。
一方、傷病手当金も失業給付も非課税です。失業給付には税金をかけられないと雇用保険法12条が定めていて、傷病手当金にも所得税はかかりません。つまり、さきほどの約489万円はそのまま手元に残ります。
| 28か月で手元に残る額 | 目安 |
|---|---|
| 働き続けた場合(月給26万円・税と社会保険料を引いたあと) | 約580万円 |
| 制度を上限まで受け取った場合(非課税なのでそのまま) | 約489万円 |
しかもこの489万円は、傷病手当金を1年6か月フルに受けたうえで、就職困難者と認められて300日もらえた場合の数字です。20代の一般の離職者なら失業給付は90日なので、合計は約365万円まで下がります。
念のため書いておくと、これは「働けるのに制度を使ったらどうか」という話です。本当に働けない人が療養に専念するのは当然で、そのための制度です。ただ、制度を使えば得をするという前提で数十万円を払うのは、計算が合いません。
無収入の時期に出ていく30万円は重い
私は9月末で会社を辞めて、次の入社は12月でした。約3か月の無職期間があると分かっていたので、住民税を自分で払うことも事前に理解していたつもりです。
それでも、いざ無収入で納付書と向き合うと気持ちが追いつきませんでした。収入が止まっている時期の数十万円は、給料が入っているときに見る数十万円とはまるで重さが違います。
あのときの感覚を思い出すと、退職前に数十万円を先払いする怖さは他人事ではありません。だからこそ、その29万円が何に対する対価なのかだけは、払う前に確かめてほしいのです。








金額の話が出るまで、勤務先や通院歴といった細かい情報は渡さなくて大丈夫です。まず料金と解約条件だけ聞いてみてください。
断ったあと、自分でやることは2つだけ


「業者に頼まないと、こんな手続きは無理なのでは」と思うかもしれません。実際にやるのは、傷病手当金の申請と、失業保険の受給期間を延ばす手続きの2つだけです。
どちらも窓口は無料で、書類は郵送で出せます。数十万円を払わないと進まない工程は、この2つのどこにもありません。
傷病手当金は、会社に書いてもらうのが1ページだけ
傷病手当金の申請書は4ページあり、書く人がページごとに分かれています。自分で書くのは1〜2ページ目で、氏名と口座、休んだ期間を埋めるだけです。会社に頼むのは3ページ目、主治医に頼むのは4ページ目になります。
会社へ渡す3ページ目は勤務状況と給与の欄で、病名を書く場所はありません。返信用の封筒と切手を同封して3ページ目だけを送れば、会社へ出向かずに済みますし、申請書の中身を見られることもありません。
用紙の取り寄せ方が分からなければ、加入していた健康保険に電話すれば教えてもらえます。ここまでのどこにも、有料の代行が要る工程はありません。
働けない間は、失業保険の受給期間の延長を出しておく
失業保険は、働ける状態に戻ってから受け取るお金です。療養中はその条件を満たさないので、代わりに出しておくのが失業保険の受給期間の延長です。
出さないまま時間が過ぎると、体調が戻ったころには受け取れる日数が残らないことがあります。この手続きも、体調が悪ければ郵送か代理人で出せます。
ハローワークへ行くこと自体を避ける必要はありません。窓口で「いまは療養中で働けない」と正直に伝えれば、そのまま延長の手続きを案内してもらえます。連絡しないまま時間が過ぎるほうが、よほど損をします。
もらえる条件、退職日をいつにすべきか、延長をいつ出せばよいか。細かいところは傷病手当金と失業保険を両方受け取る方法に順番どおりまとめました。業者に聞かなくても、必要なことはここで足ります。








業者に払うかどうかで迷っている間、手続きは1ミリも進みません。まず加入していた健康保険に電話して、申請書を取り寄せるところからで足ります。
それでも頼むなら、契約前に確認する7項目


それでも自分では無理だと感じて業者を検討するなら、確認すべきことは7つあります。面談の場でそのまま聞けるよう、答えが書面で返ってくるかどうかまで入れています。
面談で聞く7つの質問
| # | 確認すること | 危ないサイン |
|---|---|---|
| 1 | 支払う総額が、サイトか書面に金額で書かれているか | 「人によります」「面談で説明します」としか言わない |
| 2 | 給付が出なかった場合も費用が発生するか | 返金の条件が口頭の説明だけで、書面にない |
| 3 | 途中解約の条件と違約金の額が書面にあるか | 「解約はできます」とだけ言い、金額を示さない |
| 4 | 支払いの時期と方法(前払いか、分割やカードか) | サービス開始前の一括前払いだけを求めてくる |
| 5 | 担当する社労士の氏名と所属する都道府県社労士会 | 「社労士監修」とサイトに書いてあるだけで氏名が出ない |
| 6 | 指定のクリニックや医師の受診を求められていないか | 「提携先で受診してください」と受診先を1つに決めてくる |
| 7 | 期限を切られていないか | 「残り◯枠」「今日中なら割引」と急かしてくる |
7つのうち1つでも書面で確認できないものがあれば、その日は契約せずに帰ってください。あとから確認しようとしても、支払いを終えた相手には後回しにされます。
7つすべてに答えが返ってきても、分かるのは「説明がまともな事業者だ」ということだけです。その料金を払う必要があるかどうかは、また別の話になります。
社労士の名前は、その場で照合できる
7つのなかで、担当社労士の確認がいちばん見落とされます。「社労士監修」という言葉は、サイトに書くだけなら誰でも書けるからです。
確認する手順は3つだけです。
- 担当する社労士の氏名と、所属する都道府県社労士会を聞く
- 全国社会保険労務士会連合会のサイトから、その都道府県の社労士会を開く
- 会員の名簿や検索で、氏名が実際にあるかを確かめる
あわせて見ておきたいのが、契約する相手が誰かです。契約書の相手が社労士事務所ではなく別の会社になっているなら、その社労士が実際にどこまで関わるのかを聞いてください。
受診先を指定されたら、その場で断る
業者が特定の病院を指定してきたら、そこで一度立ち止まってください。
診断は、あなたの実際の症状をもとに医師が出すものです。近くの心療内科を候補として教えてくれるだけなら問題ありません。受診先を決められ、医師に伝える内容まで指示されるなら、それは助言の範囲を超えています。
質問を全部ぶつけるのは気まずいはずです。それでも、まともな事業者ほど料金と解約条件は即答します。答えが返ってこないこと自体が、いちばん分かりやすい判断材料になります。








面談の録音や、LINEのやり取りの保存もしておいてください。あとで消費生活センターに相談するとき、口約束だった話が残っているだけで説明が早く済みます。
もう契約してしまった人がまずやること


自分でもできると分かったあとで、「もう業者に払ってしまった」と気づく人もいます。よく調べずに振り込んだと分かった瞬間は、自分を責める気持ちでいっぱいになります。ただ、反省はあとでいくらでもできます。いまやるべきは、これ以上損を広げないことです。
何をどう伝えるか迷ったら、まず消費者ホットライン188に電話してください。解約できるかどうかは、あなたがどうやって申し込んだかで変わるからです。
解約の可否は「どう申し込んだか」で変わる
同じ契約に見えても、申し込みの経路で法律上の扱いが分かれます。
| 申し込みの経路 | 取引の種類 | クーリングオフ |
|---|---|---|
| ネットやSNSの広告を見て、自分から登録・申し込みをした | 通信販売 | 法律で定められたクーリングオフの制度はありません。返品や解約ができるかは、事業者が決めた特約しだいです |
| 事業者から電話で勧誘されて契約した | 電話勧誘販売 | 法律で定められた書面を受け取った日から8日間、クーリングオフの対象になり得ます |
(参考:消費者庁「消費者トラブルFAQ 通信販売」「電話勧誘販売」)
国民生活センターが示した典型的な流れは、広告を見て自分で登録し、WEB会議で説明を受けて契約する形でした。この形は通信販売と判断されることが多く、その場合は法律上のクーリングオフを使えません。
188に電話するときにそろえておくもの
手元に資料があるほど、1回の相談で決められることが増えます。次のものが手元にあると話が早く進みます。
- 契約書、または申し込み画面のスクリーンショット
- 支払いの記録(振込明細、クレジットカードの明細)
- LINEやメールのやり取り
- 申し込むきっかけになった広告の画面
全部そろうまで待つ必要はありません。クーリングオフの8日間が動いている可能性を考えると、資料探しに数日かけるほうが危険です。手元にあるものだけ持って先に電話し、足りない分はあとから伝えれば十分です。
188にかけると、住んでいる地域の消費生活センターにつながります。カードで支払っている場合は、カード会社の相談窓口にも状況を伝えておいてください。
指示された申請は、出す前に止める
金銭の回収より優先してほしいことが1つあります。事実と違う内容の申請を指示されていて、まだ書類を出していないなら、そこで止めてください。
すでに出してしまった場合は、隠さずにハローワークか加入している健康保険へ自分から申し出てください。不正受給と判断されれば、返還や納付を命じられるのは業者ではなくあなたです。
知恵袋には、契約を解約したいと申し出たあとの投稿もありました。業者から指定されていたクリニックのほうから、こう迫られたという内容です。「書類作成費9,000円を個人名義の口座へ振り込むか、電子マネーで払わないと弁護士に相談する」。こうした請求を受けたときも、支払う前に188と警察に相談してください。








払った分を取り戻したい気持ちは当然です。順番としては、犯罪に巻き込まれない形で先に降りておくほうが傷は浅く済みます。
相談も申請も無料。窓口一覧と、自分では難しいときの頼り先


傷病手当金も失業給付も、相談と申請そのものに費用はかかりません。どこに何を聞けばいいかを先に決めておくと、体調が悪い日でも電話1本で前に進みます。
相談できる窓口と、聞けること
| 窓口 | 聞けること | 費用 |
|---|---|---|
| 加入していた健康保険(協会けんぽ・健康保険組合) | 傷病手当金の申請書の入手、書き方、退職後も続けて受け取れるか | 無料 |
| ハローワーク | 失業給付の受給資格、失業保険の受給期間の延長、就職困難者にあたるか、離職票(失業給付の申請に使う書類)が届かないとき | 無料 |
| 市区町村の窓口 | 国民健康保険への切り替え、保険料の減免 | 無料 |
| 市区町村の年金窓口・年金事務所 | 国民年金への切り替え、保険料の免除 | 無料 |
| 消費生活センター(消費者ホットライン188) | 業者との契約トラブル、解約や違約金 | 相談は無料(通話料は自己負担) |
どの窓口も、電話で「いま退職を考えていて」と切り出せば、そこから先は担当者が聞いてくれます。用件を完璧にまとめてから電話する必要はありません。
ただし、費用がゼロで済むわけではありません。傷病手当金の4ページ目を医師に書いてもらうときは文書料がかかり、受診料や郵送代も自己負担です。188の相談料も無料ですが、通話料だけは自己負担です。それでも、数十万円のサポート費用とは桁が違います。
会社が書類に応じないときも、窓口は公的機関
「離職票が届かない」「傷病手当金の事業主記入欄を書いてもらえない」という壁にぶつかることは、実際によくあります。離職票は、退職後に会社から届く、失業給付の申請に使う書類です。会社が応じない段階でも、有料のサービスへ駆け込む必要はありません。
- 離職票が届かない、内容が実際と違う → ハローワークに相談する
- 事業主記入欄を書いてもらえない → 加入していた健康保険に事情を伝える
どちらも、会社が応じない場合の取り扱いを窓口が持っています。まずは公的機関に「会社が対応してくれない」と伝えてください。
自分では難しいときに頼る先
書類を書いて出し続けること自体がつらい時期はあります。そのときは無理に一人で抱えず、目的に合った相手へ渡してください。
| 状況 | 頼る先 |
|---|---|
| 体が動かず、書類にも手がつかない | 主治医と家族。診断書の相談と、書類の記入や郵送の代行を頼む |
| 手続きの中身を有料でも人に任せたい | 社会保険労務士。依頼前に、所属する都道府県社労士会で登録を確かめる |
| 会社と法的にもめている | 弁護士。社労士の業務も行える |
| 業者との契約でもめている | 消費生活センター(188) |
有料で頼む場合も、順番を守れば費用は抑えられます。先にハローワークと健康保険の窓口で無料相談を受け、そのうえで自分では書けない書類だけを社労士へ依頼してください。報酬は事務所ごとに違うので、依頼前に見積もりを取りましょう。
私自身も、会社を辞めたあとの失業給付は業者に頼まず自分で受け取りました。やったことは、ハローワークで聞きながら、言われた書類をそろえて決められた日に通っただけです。
傷病手当金や失業保険の受給期間の延長までは経験していないので、そちらの大変さは分かりません。ただ、失業給付に関しては、外から見ていたときに想像していたほど自分の手に負えないものではありませんでした。








それでも今日は動けない、という日もあります。そういう日は「電話で聞く窓口を1つだけ決める」ところまでで十分です。
まとめ|払う前に、無料で聞けるかどうかを確かめる
社会保険給付金サポートに払うお金は、手続きの代行料ではなく助言への料金です。申請の窓口はすべて無料で、資格のない業者ができるのは助言と指導に限られます。だからこそ、有料のサポートは原則いりません。
契約書のどこを見ればいいかと、断ったあと自分で何から動けばいいかは、ここまでで一通り書きました。あとは、動きやすいところから1つずつで大丈夫です。
すでに払ってしまった場合は、こちらが先です
契約書と支払いの記録、やり取りの画面を手元に集めて、188に電話する。それが最初の1歩です。
まだ契約していないなら、動きやすいものから次の3つに手をつけてください。
- 提示された契約書に、解約条件と違約金の額が金額で書かれているかを確かめる
- 退職後も傷病手当金を受け取れるかは健康保険の加入期間で変わるので、自分の期間を、勤務先から渡される「資格情報のお知らせ」かマイナポータル、資格確認書で確認する
- 傷病手当金のことは加入していた健康保険、失業給付のことはハローワークに電話して状況を話す
数十万円を節約した先にあるのは、療養と、その次の一歩に使えるお金です。その一歩を焦る必要はありません。
その「次の一歩」の話だけ、最後に少しだけ添えます。
療養が終わって次の仕事を探す段階になると、求人選びと面接の準備が同時に来ます。第二新卒エージェントneoは第二新卒・既卒に特化していて、相談から入社後のフォローまで費用はかかりません。在職中でも相談できるので、次を決めてから辞めたい場合にも使えます。
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