副業と転職どっちが先?20代が目標額から決める3ステップ
「今の給料じゃ厳しい」と思ってから、副業と転職を交互に調べて、どちらに絞るか決めきれないまま数か月が過ぎていませんか。片方をもう始めている人も、その選び方で合っているのかが分からないのは同じです。
迷っている間も、家賃も食費も待ってくれません。副業の記事を読めば副業がよく見えますし、転職の記事を読めば転職がよく見えます。決め手がないまま検索を繰り返すと、時間だけが減ります。
私自身は29歳で業界をまたぐ転職をして年収が上がり、会社員のまま確定申告も3年続けています。この記事では厚生労働省とパーソル総合研究所の調査をもとに、副業3タイプと転職それぞれの性質を並べ、どちらを先に試すかを決める3ステップをまとめました。読み終えると、自分がどちらから動くかが決まります。
- 先に決めるのは「副業か転職か」ではなく、手取りを月いくら・いつまでに増やしたいか
- 3か月以内ならアルバイトなど翌月から入る副業、4〜6か月なら転職、半年より先まで待てるなら転職も副業も選べる
- 判定は目標額・4週間の実測時間・求人3件の3ステップ。就業規則が全面禁止なら、副業側は最初から外れる
副業と転職、先に決めるのは「手取りを月いくら・いつまでに」

「副業と転職、どっちがいいですか」は、人に聞いて解決する質問ではありません。知恵袋で相談した28歳の方には、複数の回答者が「副業から始めるべき」と勧めていました。それでも最後は自分で「一旦、個人でも稼げる業種に転職する」と決めています。
先に決めるべきは、副業か転職かではありません。月いくら、いつまでに増やしたいかです。
助言と本人の結論がずれるのは、判断に必要な数字が本人の中にしかないからです。しかも副業と転職ではお金の増え方の性質が違うので、金額だけを並べても比べられません。
| 転職 | 副業 | |
|---|---|---|
| 今の会社 | 辞める。退職・引き継ぎ・入社まで動き続ける | 辞めない。いまの生活のまま試せる |
| 増えるまでの時間 | 活動3か月+入社で半年ほど | アルバイトなら翌月から。ブログなど育てる形は数か月〜年単位 |
| 追加で差し出す時間 | 活動中だけ。入社後は上乗せなし | 続けるかぎり要る(20代は月23.9時間) |
| 来年も残るか | 残りやすい。翌年の昇給の土台が上がる | 手を止めると止まる形が多い |
| うまくいかなかったとき | 25〜29歳の29.2%は賃金が下がった。前の会社に戻るのは簡単ではない | 時間だけ使って収入ゼロもある。やめれば本業だけの生活に戻る |
同じ「月3万円」でも、手に入れ方がまるで違います。転職の強みは、上がったあとに何も足さなくていいこと。動くのは活動している期間だけです。
副業の強みは、今の会社を辞めなくていいこと。合わなければやめれば本業だけの生活に戻るので、失敗したときの傷も浅く済みます。
今の会社で昇給を交渉するのも手です。ただし上がり幅は会社の制度に左右されるので、この記事では自分で選べる2つに絞ります。転職活動にどれくらいかかるかは転職活動の期間・何ヶ月かかるにまとめました。
当てはまる人は、収入を増やすより先に休んでください
比べる前に、ひとつだけ確認したいことがあります。次の3つのどれかに当てはまるなら、副業も転職活動も今は向きません。
- 眠れない日が続いている
- 本業の残業がすでに月45時間前後ある
- 副業を始めるのに借金や高額な契約が必要
副業は労働時間を足す行為で、転職活動にも体力を使います。体が削れている状態でどちらかを始めると、収入が増える前に働けなくなります。
3つめの「借金や高額な契約」について補足します。消費者庁は2025年6月26日、簡単な副業をうたって高額なサポートプランを契約させる事業者への注意喚起を公表しました。
勧誘に使われていたのは「このプランなら、月50万が当たり前になる」「儲けが出なければ返金保証がある」という言葉です。副業を始めるのに借金や高額な契約が必要になった時点で、その話からは降りましょう。

どちらが優れているという話ではありません。この先で副業と転職の中身を並べるので、「自分ならどっちが続きそうか」を思い浮かべながら読んでみてください。
副業で増やす|3つの型で、お金が入る時期も上限も違う


「副業」とひとくちに言っても、中身は3つに分かれています。どれを選ぶかで、最初の入金が来月になるか1年後になるかが変わります。ここを分けずに読み進めると、転職と比べようがありません。
3つに共通しているのは、どれも今の会社を辞めずに始められることです。勤め先も通勤経路も人間関係もそのままで、空いた時間だけを使います。小さな案件を1件だけ受けて、いくらになったかを見てから続けるか決められるので、合わなければやめて本業だけの生活に戻れます。
もうひとつ、受け取る額が会社の制度から切り離されるのも副業の強みです。昇給の幅は自分では決められませんが、副業で入る額は動いた分だけ変わります。
先に言っておくと、副業は続けるかぎり時間を出し続ける形です。まとまった時間がどうしても取れないなら、答えは転職側だけで出ます。次の「転職で増やす」へ進んでください。自分が何時間出せるかは、このあとの3ステップで4週間かけて測ります。
アルバイト・受注する仕事・育てる仕事
| アルバイト | 受注する仕事 | 育てる仕事 | |
|---|---|---|---|
| 例 | コンビニ・倉庫・単発の配達 | クラウドソーシング・受託制作・スキル販売 | ブログ・動画・コンテンツ販売 |
| 契約 | 雇用契約(会社に雇われる) | 業務委託契約(仕事を請け負う) | 業務委託契約(または広告収入) |
| 最初の入金 | 働いた月の翌月から確実 | 受注できれば1〜2か月 | 数か月〜年単位。出ないこともある |
| 増やせる上限 | 時給 × 働ける時間 | 単価 × こなせる量 | 上限がない代わりに保証もない |
| 必要な時給で測れるか | 測れる(求人票に時給が載る) | 測れる(実質時給) | 最初は測れない |
| 会社に伝わるか | 副業先が市区町村へ給与を報告するので伝わる | 自分で住民税をどう申告するかで変わる | 同じ |
| 向き不向きの差 | 小さい | 中くらい | 大きい |
アルバイトは、働いた時間がそのまま収入になります。確実さと引き換えに、増やせる額は時給と使える時間で頭打ちです。副業先からも給与が出るので、翌年1月末までに副業先からあなたの住む市区町村へ給与の報告(給与支払報告書)が届きます。
受注する仕事は、案件を取れた分だけ収入が増えます。単価は相手しだいで、いつからいくらになるかを示した調査は見当たりません。次の「月収は5万円未満が4割強」が、いちばん当てはまるのは、この層です。
育てる仕事は、最初の数か月がほぼ無報酬です。そのかわり上限がなく、当たったときの伸び方は他の2つと比べものになりません。合う合わないの差がいちばん大きいのもここです。時給という物差しが最初は使えないので、あとの3ステップでは別の見方をします。
3つのうちどれが正解ということはありません。「いつまでにいくら」が先に決まれば、選べるタイプは自動的に絞られます。
副業の月収は「5万円未満」が4割強
「副業なら月◯万円」という数字をよく見かけますが、平均月収を出した最新の調査はありません。タイプによってお金が入る時期も金額もここまで違うので、1つの数字にまとめようがないからです。分布なら公表されているので、金額帯ごとの割合で見当がつきます。
厚生労働省所管の労働政策研究・研修機構(JILPT)が、副業をしている9,299人に月収を聞いた調査結果を公表しています。
| 副業の月収 | 割合 |
|---|---|
| 3万円未満 | 27.3% |
| 3〜5万円未満 | 16.8% |
| 5〜10万円未満 | 27.1% |
| 10〜15万円未満 | 11.7% |
月5万円未満が4割強を占めます。ただしこの調査は2017年のもので、いまの実態そのものではありません。
新しい数字でも傾向は同じでした。パーソルイノベーションのlotsfulが2025年5月に行った調査(回答674人)では「5万円未満」が最多の26.8%。8年近く離れた2つの調査で、いちばん厚い層は変わっていません。
時給と時間を掛け算しても月収にはなりません
パーソル総合研究所の第四回調査では、副業の時給は平均3,617円・中央値2,083円、1か月の活動時間は平均23.0時間です(20代は23.9時間で最長)。ここから「2,083円 × 23.0時間 = 約4.8万円」と計算したくなりますが、成り立ちません。
報告書によれば時給は「副業の月収を月間副業時間で割った値」で、その中央値に別集計の平均時間を掛けても誰の月収でもない数字になるからです。
自分の実質時給を出す
他人の平均ではなく、自分の副業がいくらの時給になっているかを測ります。
実質時給 =(受け取った報酬 − 経費 − 手数料)÷ かかった全時間
かかった全時間には、案件が決まる前や納品後に使った時間も含めてください。
- 案件を探す時間
- 応募文や見積もりを書く時間
- 打ち合わせと修正のやり取り
- 請求書を作る時間
報酬が発生しない時間を数えないと、実質時給は簡単に倍に見えてしまいます。育てる仕事は、最初の数か月はこの計算をしても意味がありません。分母だけが増えていく時期なので、収益が出はじめてから測ります。








転職で増やす|20代の46.3%が賃金増、29.2%が賃金減


転職の良さは、入社した時点で単価が変わり、そのあとは今までと同じ働き方が続くことです。ただし、その単価が上がるとはかぎりません。
厚生労働省が2025年8月26日に公表した令和6年雇用動向調査結果の概況に、前職と比べた賃金の変動が年齢別で載っています。
| 年齢 | 賃金が増加 | 賃金が減少 |
|---|---|---|
| 20〜24歳 | 50.5% | 16.8% |
| 25〜29歳 | 46.3% | 29.2% |
| 全年齢 | 40.5% | 29.4% |
「変わらない」は25〜29歳で23.1%です。20代は全年齢より賃金が増えた人の割合が高く、増加のうち「1割以上」に限っても25〜29歳は37.9%を占めます。
一方で25〜29歳は29.2%が賃金を下げています。1割以上下がった人も17.6%います。20代は賃金が上がった人のほうが多い、というだけです。転職すれば賃金が上がると決まっているわけではありません。
賃金変動の数字を自分に当てはめる前に
次の5点を知らずに読むと、雇用動向調査の賃金の増減割合を実態より強く受け取ってしまいます。
- 「賃金」の変動であって「年収」ではない。厚労省は年収の増減として公表していない
- 賃金が何を指すかは調査票に書かれていない。設問は「直前の勤め先と比べて賃金はどう変わりましたか」だけで、賞与を含めるかの指示がない。月給で答えた人も賞与込みで答えた人も、同じ「増加」「減少」に入っている
- 正社員だけの数字ではない。パートタイム労働者を含む転職入職者の集計
- 転職した年に一度聞いたきりの数字。同じ人を翌年以降まで追いかけてはいないので、その後どうなったかは分からない
- 減少の29.2%も同じ調査の数字。増加だけを抜き出さない
下がる側に入らないために必要なのは、求人の見積もり方です。求人票の下限で見て、初年度は賞与が満額出ない前提に置く。この2つで、提示額と入社後の実態のズレはかなり潰せます。手順はこのあとのステップ③で出します。
増えた分をもらい続けるのに、追加の時間が要らない
副業で月3万円を増やすなら、その3万円分の作業を毎月続けます。20代が副業に使っている時間は月23.9時間で、1年続ければおよそ287時間。手を止めた月は、収入も止まります。
転職はここが逆です。時間を使うのは活動しているあいだだけで、入社したあとに上乗せする時間はありません。私も医薬品製造に移ってから、収入を保つために就業時間の外で何かをしたことはありません。増えたのは、時間あたりの単価のほうです。
ただし転職も、活動の3か月ぶんは先払いです。在職中に応募と面接をこなす期間があり、そのうえ25〜29歳の29.2%は賃金を下げています。時間が要らないのは「上がったあと」の話で、上がるかどうかは求人の選び方しだいです。
上がった分が翌年も残るのが、転職の性質
年齢も業種も人によって違いますが、上がった分が翌年に乗るという動き方は同じです。
私の場合は29歳のとき、自動車業界から医薬品製造に移りました。業界はまったくの未経験で、使ったのはdodaのエージェントです。書類を添削してもらって選考を通過し、入社時の年収は前職から50万円上がって約450万円になりました。
翌年からの昇給や賞与は、この450万円を土台に計算されます。そこから4年で約550万円になり、次は600万円を目標にしています。上がり続けた理由は、転職そのものより職種が自分に合っていたことが大きいと感じます。
アルバイトや受注仕事で得た月3万円は、年に直せば36万円です。ただし来年も同じ時間を出さなければ消えます。転職で上げた50万円は、来年は450万円からの昇給として計算が始まります。同じ金額でも残り方が違うのは、ここです。








未経験でも書類が通ったのは、担当者が「その業界で何が求められるか」を教えてくれたからです。どの会社でも、担当者に当たるかどうかで結果は変わります。
このあとの3ステップで使う「条件を揃えた求人3件」は、転職サイトを自分で検索するとかなり時間がかかります。地域・職種・経験年数をそろえた求人だけを抜き出す作業だからです。
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あなたはどっち?|目標額と期限から決める3ステップ


副業と転職、それぞれの性質は出そろいました。あとは自分の条件を当てはめるだけです。
決め方は3ステップです。①月いくら・いつまでに増やしたいかを書く、②就業規則を確認して4週間の実時間を測る、③目標額に届くかを副業側と転職側で試算する。順番を入れ替えると答えが出ないので、①から進めてください。
ステップ① 月いくら、いつまでに増やしたいかを書く
月いくら、いつまでに増やしたいかを書きましょう。金額と期限を1行で書きます。「手取りを月3万円、来年3月までに」のように、両方そろえるのが条件です。
金額は額面ではなく手取りで書いてください。家賃や食費の不足を埋めたいなら、必要なのは手元に残る額だからです。ここで書いた数字は、あとのステップの計算にそのまま入ります。
期限は「収入が実際に変わるまで」で見ます。転職活動そのものは3か月前後が目安ですが、そこから退職を申し出て、引き継ぎをして、入社して、最初の給与日が来るまでにさらに1〜2か月かかります。この目安から次の3つに区切りました。厳密な境界ではないので、自分の事情でずらして構いません。
- 3か月以内に手取りを増やしたい → 転職は間に合わない。アルバイトなどの副業か、支出の見直しが先
- 4〜6か月なら待てる → 転職が先。ステップ②以降は転職側だけ見る
- 半年より先まで待てる → ステップ②へ。転職も副業3タイプも選択肢に入る
期限が短いほど選べるタイプは減ります。3か月以内ならアルバイト一択で、上限は時給×働ける時間まで。使える制度と支出の削り方は転職活動中にお金がない時にやることにまとめました。
なお転職は「早い」だけで「必ず上がる」ではありません。25〜29歳では3割近くが前職より賃金を下げています。速さで転職を選ぶ場合も、ステップ③の求人比較は必ず通してください。
ステップ② 就業規則を開いて、4週間の実時間を記録する
確認するのは、会社が副業を認めているかと、自分が実際に何時間出せるかの2点です。
まず社内ポータルか就業規則のPDFを開いて、「副業」「兼業」で検索します。出てくる書き方で、この先が変わります。
- 記載なし/勤務時間外は自由 → 副業を選べる
- 届出制・許可制 → 届け出て、通ってから始める
- 全面禁止 → この時点で副業側は「届かない」で確定
読み方の詳しい手順は、このあとの「会社が副業を禁止しているときに確認すること」で扱います。
次に時間を測ります。パーソル総合研究所の調査では、副業をしている人の活動時間は1か月あたり平均23.0時間で、20代は23.9時間ともっとも長くなっています。
ただし他人の平均を自分の目標にしても意味がありません。4週間、睡眠と本業を崩さずに確保できた時間を実際に記録して、合計何時間だったかを出します。
記録した合計が月10時間に届かなかったら、副業側は最初から厳しいと考えて、ステップ③は転職側だけで足ります。時間が短いほど、目標額をその時間で割ったときの必要な時給が跳ね上がるからです。








ステップ③ 目標額に届くには|必要な時給と、必要な年収アップ額
①の目標額と②の時間を当てはめます。副業側と転職側で計算のしかたが違うので、両方を出してから比べます。
副業側:目標額 ÷ ②で記録した時間 = 必要な時給
手取りで月3万円ほしい人が、4週間で20時間確保できたなら、3万円 ÷ 20時間 = 1,500円です。
ただし受け取る報酬からは、経費と手数料に加えて所得税と住民税が引かれます。引かれたあとに1,500円が残るようにするには、その分だけ多く受け取らないといけません。
引かれる割合は所得や経費で変わるので、始める前には確定しません。2〜3割引かれるとして逆算すると、必要なのはおよそ1.3倍。実際の割合は、受け取りと経費が出てから直せば足ります。
1,500円 × 1.3 で、必要な時給はおよそ1,900円。手取り月5万円なら、同じ計算で3,200円ほどになります。
出した数字の使い方は、選ぶタイプで変わります。


| タイプ | 必要な時給の使い方 |
|---|---|
| アルバイト | 求人票の時給と直接くらべる。上回る募集があれば「届く」 |
| 受注する仕事 | 調査の中央値2,083円とくらべる。超えるなら、続けている人の半分より上を最初から出す話になる |
| 育てる仕事 | 時給では判定できない。最初の数か月は分母だけ増える。「半年より先まで待てる」に当てはまり、かつ無報酬の期間を続けられるかで決める |
手取り月3万円の例だと1,900円なので、中央値の少し下です。手取り月5万円だと3,200円で、中央値を5割以上うわまわります。月20時間の副業で手取り5万円を狙うのは、いま続けている人の上位に最初から入る話だと分かります。
転職側:条件を揃えた求人3件と、今の条件を比べる
年齢別の平均年収と見比べても答えは出ません。平均は地域も職種も残業時間も混ざった数字だからです。20代の平均を下回っていても、同じ地域の同じ職種では相場どおりということがあります。
地域・職種・経験年数を揃えた求人を3件そろえて、今の条件と並べます。比べるのは年収だけではありません。
- 月給と賞与の実績
- 固定残業代の有無と時間数
- 年間休日
- 通勤時間
3件そろわない地域もあります。その場合は条件をひとつずつ外して(職種を近い職種まで広げる、通勤時間を延ばす)、それでも出てこないなら、転職側は「届かない」が答えです。求人がないという事実も答えのひとつです。 4項目を並べたとき、①で書いた金額のぶん上がる求人があるかどうか。それが転職側の答えです。
ここでも額面と手取りの差が効いてきます。額面が増えても、そこから税と社会保険が引かれます。おおよそ3割が引かれると見て逆算します。手取りで月3万円なら年36万円。これを手元に残すには、額面で年50万円前後の差が要る計算です。
引かれる割合は年収や扶養で変わるので、正確に知りたいときは今の給与明細の控除欄で自分の割合を確かめるのが早いです。
もうひとつ、求人票の年収は幅で書かれていて、提示額の保証ではありません。初年度は賞与が満額出ないことも多いので、下限で見て、初年度はさらに低めに見積もるのが安全です。賃金が減った29.2%に入らないために、いちばん役に立つのがこの見積もり方です。
結局どっちが先か|4通りの答え
副業側と転職側で答えが違ったときの優先順位は、①で書いた期限で決まります。
| 副業で届くか | 転職で届くか | 先にやること |
|---|---|---|
| 届く | 届く | 期限が4〜6か月なら転職。半年より先まで待てるなら副業から |
| 届く | 届かない | 副業 |
| 届かない | 届く | 転職 |
| 届かない | 届かない | 目標額を下げるか、期限を延ばして計算し直す |
就業規則が全面禁止だった場合は、副業側が自動的に「届かない」になります。
この3ステップが見ているのは収入だけです。仕事の中身や人間関係、家庭の事情を入れると答えは変わります。データで裏が取れるのは副業の時給の中央値だけで、半年の区切りと求人3件は私が置いた線です。決める基準ではなく、自分の数字を並べる物差しとして使ってください。
相場の目安を知りたいときは20代の平均年収と中央値を、職種で上がり幅が変わる話は未経験から年収が上がりやすい職種ランキングにまとめています。
ここで副業側が「届く」になった人は、始める前に確認することが3つあります。雇用形態によるルールの違い、就業規則の手続き、そして税金です。
副業は雇用型と業務委託型でルールが違う


ここから3章は、副業を選んだ人向けです。転職に決めた人は、最後の「両方やるなら」まで飛ばして構いません。 副業は「雇用されて働くか」「業務委託で受けるか」で、労働時間・社会保険・税・法律の守られ方がすべて変わります。始める前に、自分がどちらなのかを契約書で確認してください。
パーソル総合研究所の調査では、副業をしている人の7割超が雇用形態を「理解している」と答えました。ところが雇用形態を問うケーススタディの正答率は42%で、全問正解した人は2割に届きませんでした。
| 雇用型(アルバイト・パートなど) | 業務委託型(クラウドソーシング・配達など) | |
|---|---|---|
| 契約 | 雇用契約 | 業務委託契約 |
| 労働時間 | 本業と通算される | 通算されない |
| 社会保険・年金 | 加入要件を満たせば本業と合算される | 年金額に反映されない |
| 税の区分 | 給与所得 | 雑所得または事業所得(経費を引ける) |
| 守ってくれる法律 | 労働基準法 | フリーランス法(発注元が事業者の場合) |
雇用型は、本業と労働時間が合算される
アルバイトのように雇用契約で働く副業では、本業と副業先の労働時間を通算して法定労働時間を守れているか確認するルールがあります。厚生労働省が労働者向けの解説で案内している内容です。
パーソルの調査では、本業の残業と副業を合わせて月45時間以上になる人が3割を超え、そのうち半数以上が本業先に副業を報告していませんでした。届出をしないまま時間だけ積み上がると、体を壊す前に会社との信頼を壊します。
社会保険と年金は、形態で扱いが分かれる
「副業は年金に乗らない」と書かれた記事をよく見かけますが、正しくありません。年金への反映は、副業の形態で分かれます。
- 業務委託型:厚生年金の標準報酬月額は本業の給与だけで決まる。副業の収入は将来の年金額に反映されない
- 雇用型で、副業先でも社会保険の加入要件を満たす場合:「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を事実発生から10日以内に提出する。両方の報酬月額を合算して標準報酬月額が決まり、保険料は各社の給与の比率で分けられる
つまり雇用型でも、副業先で加入要件を満たしたときだけ保険料が増え、将来の年金に反映されます。短い時間のアルバイトなら加入対象にならないこともあるので、まず副業先に確認してください。業務委託型は保険料が増えない代わりに、年金にも乗りません。
加入要件を満たしているのに届出をしないのは手続き漏れです。あとから遡って処理されると、まとまった保険料を一度に引かれます。
業務委託型は、契約の形と実態が合っているか
公正取引委員会が案内しているフリーランス法は、発注する側に取引条件を書面やメールで明示するよう義務づけています。発注側が従業員を雇っている場合は、受け取った日から60日以内に支払う義務も加わります。報酬額・支払期日・業務範囲は必ず文字で残してください。
ただし対象は事業者からの委託です。個人(消費者)からの依頼は対象外なので、フリマやスキル販売で相手が個人なら、やり取りと取引の記録を自分で残すしかありません。
もうひとつ落とし穴があります。パーソルの調査では、業務委託で副業をしている人の55.2%が「労働者と判断されるリスクが高い層」に分類されました。契約書は業務委託でも、実態は雇われて働いているのと変わらない状態です。
厚生労働省のモデル就業規則にも、「労働契約であるか否かは実態に基づいて判断される」と書かれています。次のような状態が続いているなら、契約の形と実態がずれています。
- 作業する時間と場所を細かく指定される
- 依頼を断る自由がない
- 報酬が成果ではなく、かかった時間で決まっている
当てはまる数が多いほど、名前だけの業務委託に近づきます。








契約前に「報酬・支払日・作業範囲・修正の回数」の4つをメールで残せば、話が食い違っても何を約束したかを示せます。
会社が副業を禁止しているときに確認すること


就業規則に「許可なく他に雇われてはならない」と書いてあるのを見て、副業は無理だと決めている人は多いはずです。その一行で終わらせる前に、確認する順番があります。
厚生労働省の「モデル就業規則」は参考例です。それ自体に法的な拘束力はなく、あなたに適用されるのは勤め先の就業規則のほうです。それでも先に見ておく価値があります。国が置いた標準の位置が分かると、自社の規則が厳しいのか普通なのかを判断できるからです。
そのモデル就業規則の第70条は、こう書かれています。
労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
会社が禁止または制限できるのは、届出に基づいて次のいずれかに当てはまる場合だけです。
- 労務提供上の支障がある場合
- 企業秘密が漏洩する場合
- 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
- 競業により、企業の利益を害する場合
解説にはさらに、「裁判例では、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは基本的には労働者の自由であることが示されている」と書かれています。
自社の規則を確認する順番
裁判例が「勤務時間外は労働者の自由」としていても、それは会社との関係で規則を無視してよいという意味ではありません。無断で始めれば、法的な議論の前に規則違反として扱われます。確認する順番はこうなります。
- 自社の規則の文言を正確に読む(全面禁止か、許可制・届出制か)
- 許可制・届出制なら、所定の手続きで届け出る
- 全面禁止で動かないなら、副業を認めている会社への転職も選択肢に入る
パーソル総合研究所の調査では、企業の副業容認率は64.3%で過去最高でした。裏を返すと、企業の35.7%は副業をまだ認めていません。「今どき副業くらい当たり前」という前提で動くと、自分の会社で足をすくわれます。
「バレるか」を調べるより、届け出るほうが早い
副業が会社に知られる経路として、住民税の金額から気づかれる仕組みがあります。ただ、この記事では隠すための手続きは案内しません。
就業規則で届出が必要なのに手続きせずに始めると、それ自体が就業規則違反として扱われます。隠し方を調べるより、届出書を1枚出すほうが早いです。
届出が通らない場合や、全面禁止で交渉の余地もない場合は、その時点であなたの選択肢が転職に絞られます。迷う材料がひとつ減ります。








就業規則は入社時に渡されたきりのことが多いものです。社内ポータルを探すか、総務に「就業規則を見たい」と伝えれば出てきます。
副業で増えた分から引かれるもの|所得20万円の誤解


副業で増えた分が、そのまま手元に残るわけではありません。とくに「20万円ルール」は、中身を取り違えている人がいちばん多い場所です。
業務委託型:20万円は「収入」ではなく「所得」
20万円の数え方が当てはまるのは業務委託型の副業です。アルバイトのように給与をもらう副業は数え方が変わるので、そのあとで分けます。
国税庁の案内では、給与を1か所から受けている人のうち、給与所得と退職所得以外の所得金額の合計が20万円を超える場合に確定申告が必要とされています。書かれているのは収入金額ではなく所得金額です。
所得は、収入から必要経費を引いた額を指します。経費にできるのは、その副業のために実際に使ったぶんだけです。
必要経費は利益を増やす制度ではありません。12万円使って減る税金はその一部だけなので、申告を避けるために買い物をすると手元のお金はかえって減ります。
| Aさん | Bさん | |
|---|---|---|
| 売上 | 30万円 | 22万円 |
| 必要経費 | 12万円 | 0円 |
| 所得 | 18万円 | 22万円 |
| 所得税の確定申告 | 不要(住民税の申告は残る) | 必要 |
売上だけで判断すると、Aさんは慌てて申告し、Bさんは必要なのに気づきません。判定に使うのは経費を引いたあとの数字です。
雇用型:給与が2か所になると式が変わる
アルバイトの副業では、副業先からも給与が出ます。給与が2か所以上になると判定式が変わり、国税庁の案内では年末調整されなかったほうの給与収入と、給与以外の所得の合計が20万円を超えるかで見ます。
給与には必要経費という考え方がありません。「売上から経費を引いて20万円以下に収める」計算は使えないので、副業先の給与が年20万円を超えたら確定申告の対象と考えてください。
20万円以下でも申告が必要になる場合がある
20万円以下なら何もしなくてよいのか。国税庁はQ&Aでこう答えています。
20万円以下の所得を申告しなくてもよいという規定ではありません。
そのうえで、還付申告(納めるためではなく、払いすぎた分を返してもらうためにする確定申告)の扱いが続きます。
20万円以下であることにより、給与所得者が確定申告を要しない場合であっても、例えば、医療費控除の適用を受けるための還付申告を行う場合には、給与所得だけでなく、その20万円以下の所得も併せて申告をする必要があります。
私は会社員をしながら確定申告を3年ほど続けています。妻が手術を受けた年には医療費控除を使い、家族分の医療費をまとめて申告しました。還付申告をしているこの立場で副業をしていたら、所得が20万円以下でも一緒に申告します。
医療費控除のように、確定申告で税金を取り戻す手続きをする人は、副業の所得が小さくても申告に含める側です。
住民税は、20万円ルールの対象外
名古屋市や小平市の案内では、住民税に所得税のような源泉徴収の仕組みはないと説明されています。そのため給与以外の所得があれば、金額の多寡にかかわらず市区町村への申告が必要です。
本業の給与から引かれる住民税は、会社が毎月の給与で天引きして納めています。副業で増えた分はその仕組みに乗らないので、自分で申告しないと市区町村に伝わりません。
つまり「所得20万円以下だから何もしなくていい」は成り立ちません。所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告は残ります。
逆に、所得税の確定申告をした場合は、その内容が市区町村へ回ります。住民税の申告を別に出す必要はありません。
所得税の確定申告が必要なのにしないまま放置すると、期限後申告になり無申告加算税や延滞税がかかることがあります。とくに雇用型なら、副業先が翌年1月31日までにあなたの住む市区町村へ給与支払報告書を出すことが地方税法で決まっているので、黙っていても給与の額は伝わります。
手続きや期限の案内は自治体ごとに違うので、お住まいの市区町村の住民税担当課で確認してください。住民税そのものの仕組みは退職後の住民税で詳しく整理しています。
手取りと、増えた分が翌年に残るかどうかで比べる
副業で増えた分からは、所得税と住民税が引かれます。業務委託なら経費とプラットフォームの手数料も出ていきます。転職で上がった分からも当然、税金は引かれます。副業と転職を比べるときは、手取りでいくら残るかと、増えた分が翌年も残るかの両方を見てください。
両方やるなら|転職活動と副業テストは並行できる


「結局、両方やればいいのでは」と思った人もいるはずです。実際に両方は選べます。ここからは、ステップ①で「半年より先まで待てる」と決めた人に向けた話です。
4〜6か月で増やしたい人は転職側に絞ったほうが確実です。3か月以内に手取りを増やしたい人は並行させる余裕がないので、アルバイトなど翌月から入る副業に絞ってください。
両方やる場合も、同じ日にスタートするのではなく少しずらして重ねます。転職活動と副業では、始めるまでの手間も、途中でやめたときの損も違うからです。
転職活動を始めても、転職しなくていい
転職活動と転職は別物です。応募しても、面接を受けても、内定を承諾するまでは引き返せます。
「転職するかどうか決まっていないから動けない」は、順番が逆になっています。動いてから決められます。すでに応募を始めている人なら、この段階はもう越えています。
選考の場で副業の有無を聞かれることはあまりありませんが、内定後の入社手続きで確認される会社はあります。副業を続けるつもりなら、転職先の就業規則を入社前に確かめておきます。
条件を揃えた求人を3件そろえて今と比べる作業は、そのまま転職活動の第一歩です。比べた結果「今の会社のほうが条件がいい」と分かったなら、それも収穫です。副業に集中する理由がはっきりするからです。


並行するなら、副業は「小さく有償で試す」から
両方を同時に始めると、どちらも中途半端になります。手間が軽い順ではなく、やめたときの損が小さい順に置くのがコツです。
- 就業規則を確認して、副業ができる状態かを決める
- 転職活動を始める(条件を揃えた求人3件をそろえて比べる)
- 副業は借金せず、小さな有償案件を1件だけ受けて、実際の時給を出す
- 3か月後、ステップ③で出した「必要な時給」に届いたかどうかで選ぶ(育てる仕事なら、続けられそうかどうかで見る)
副業を「勉強してから」始めようとすると、教材や講座にお金と時間が先に出ていきます。1件でも有償で受けたほうが、自分に向いているかどうかは早く分かります。
選ぶなら、本業のスキルがそのまま使える依頼にしてください。まったく新しい分野から始めると、単価が出るまでの期間が読めなくなります。








3か月後に判断する日をカレンダーに入れておいてください。日付を先に置くと、続けるかやめるかを数字で決められます。
副業先にそのまま転職する道もある
パーソル総合研究所の調査では、副業経験者の6.7%が副業先の企業へ転職していました。副業先へ転職した人は20代で13.6%です。同じ調査では、副業先へ転職した人のほうが、通常の転職者より働く幸せの実感やワーク・エンゲイジメントが高い傾向も出ています。
もっとも13.6%は多数派ではありません。狙って取りにいく道というより、副業を続けた先にこういう道もある、という程度の距離感がちょうどいいところです。
副業先であれ他社であれ、転職なら年収が最終的に決まるのは内定の前後です。ここで何も言わないと提示額がそのまま入社後の土台になるので、切り出し方と例文は年収交渉のタイミングと言い方にまとめています。
まとめ|副業と転職、今日決めるのは順番だけ
副業と転職は、増える金額を並べても比べられません。お金が入りはじめるまでの時間も、そのために差し出す時間も、来年も残るかどうかも違うからです。4〜6か月で増やしたいなら転職が先、半年より先まで待てるなら副業も選べます。
判断に必要な材料は、ここまでで出そろいました。副業はアルバイト・受注する仕事・育てる仕事の3つで、お金が入る時期も上限も違います。転職は25〜29歳で46.3%が賃金アップ、29.2%が賃金ダウンでした。
残っているのは、材料に自分の数字を入れる作業です。まだ手元にないのは3つ。目標額、4週間の実測時間、条件を揃えた求人3件です。
今日やることは1つだけ
紙でもスマホのメモでもいいので、「月いくら、いつまでに」を1行だけ書いてください。5分もかかりません。
- 金額が出てこない → 今の家計で足りない額を月単位で出す
- 期限が決まらない → 「3か月以内」「4〜6か月」「半年より先」のどれかだけ決める
- 両方書けた → 明日から4週間、副業に使える時間を記録する。あわせて就業規則を「副業」「兼業」で検索する
1行書けた時点で、残りの2つは順番に埋まります。逆にここが空白のままだと、4週間記録しても求人を見ても、比べる相手がありません。
3つめの「条件を揃えた求人3件」だけは、自分で集めると時間がかかります。ここだけ人に頼ると、目標額に届く手段が転職なのか副業なのかが早く分かります。
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